2040年までに約半数の自治体に消滅可能性があると言われている現在、2021年に内閣府主導の元で始動した「デジタル田園都市国家構想」をはじめ、多くの施策がとられている。
「民間企業の活力を、地方自治体に。地方の魅力を民間企業に」というミッションのもと設立され、地方自治体の活性化に取り組む非営利組織「公民連携推進機構」は2023年11月、417の自治体を対象に「地方創生における運営課題に対するアンケート」を実施。地方自治体のDX推進、デジタル教育分野、地方公共施設の再利用、そして自治体におけるSNS活動について調査した。
また、アンケートの回答を元に政策提言書を作成し、内閣府はじめとする関係省庁へ提出した。 調査結果を一部抜粋して紹介する。
自治体のDX研修が進まない理由
本調査では、自治体職員に対するDX教育の必要性について、全体の97%の自治体が「必要である」と回答。また、自治体職員の回答者100人のうち66%が「デジタル化を進めてほしい業務がある」と回答している。
DX研修が進んでいない理由として、全体の7割が「自治体職員に対するDX教育の予算がない」、全体の5割が「人員の確保面でも課題がある」回答しており、DX推進の意向はあるものの、予算と人員が大きな課題になっていることがわかった。
また、対象自治体の職員100人に不便や大変に感じる業務に聞いたところ、「紙でのやりとりやアナログでの管理が多い」の次に「一人当たりの担当業務が多い」「職員の人手不足」という回答が続いており、やはり人材不足が大きな課題となっていることがうかがえる。
8割以上が「教職員へのデジタル教育を補強したい」
市民向けのデジタル教育イベントの開催の有無に関しては、61%の自治体が「開催できていない」と回答。その理由としては「運営ノウハウがない(25.6%)」が最多で、次いで「予算がない(24.9%)」という経済的な要因も再度浮き上がった。
しかし「教職員へのデジタル教育を補強したい」「教職員へのデジタル教育を補強したい、かつ専門的な団体と連携したい」という回答はあわせて82%にものぼり、教育現場でのデジタル活用支援の必要性がうかがえる。
また自治体におけるSNSの運用体制状況(複数回答可)については、59%が「担当者が異動や不在でも対応できる体制になっている」、34%が「担当者が異動や不在で対応できない場合がある」と回答。全体の4%とごく少数だが「外部事業者のアドバイスを聞いてみたい」という回答も寄せられた。