トランスジェンダーの若者を規制する法律が、アメリカで次々と可決されている。
またアーカンソー州では、トランスジェンダーの若者に、医師がホルモン治療や性別適合の医療を施すことを禁じる法案も議会で可決されている。
こういったトランスジェンダーの人たちを規制や排除する法案は、現在20以上の州で審議されており、人権活動家たちは「法案はトランスジェンダーの若者に対する差別であり、彼らの命を脅かしかねない」と反発している。
YouTuberやTVパーソナリティーとして活躍するLGBTQアクティビストのジャズ・ジェニングスさんも、法案に反対して声をあげた一人だ。
トランスジェンダー女性のジェニングスさんは、8歳の時に女子サッカーチームでプレーするのを拒まれた。
ジェニングスさんは3月29日、自身が出演するリアリティ番組「アイ・アム・ジャズ」で放送された動画をSNSに投稿。
動画には、サッカーのユニフォームを着る8歳のジェニングスさんと、彼女の両親の姿が映る。
娘が女子サッカーチームでプレーすることを拒まれた父親のグレッグさんは、涙を流しながら「どうか娘を女子サッカーチームでプレーさせてください。そうでなければ皆さんの考えを変えるために何ができるかを教えてください」と訴えている。
ジェニングスさんはコメントで「8歳の時に約2年女子サッカーチームでプレーするのを禁じられました。そのことで疎外感を感じました」と綴っている。
ジェニングスさんの家族が抗議してから2年後に、トランジェンダー女性を受け入れる方針が作られたが、それまでチームで練習することは許されても、試合には出られなかったという。
「トランスジェンダー女性が(女子チームでプレーするのは)有利だと言われますが、それは間違っています。私自身の経験や、多くの統計がそれを証明しています。今、フロリダを含む30以上の州で、トランスジェンダーの人たちをスポーツ競技に参加させないようにする動きがあります。こういった法案は差別的で、多くの人を排除するものです。何の利益もありません」と、ジェニングスさんは動画のキャプションで訴えている。
法案導入の背景にあるのが、LGBTQの人たちへの差別を禁じようとするバイデン政権への反発だ。
バイデン大統領は就任初日の1月20日に、性自認に基づく差別を禁止する大統領令にサインした。この動きに反対する共和党議員らが中心になって、トランスジェンダーを規制する法律を作っている。
ジェニングスさんの母親のジャネットさんはガーディアンに、女子チームでプレーさせてもらえなかったことで8歳のジェニングスさんは大きな不安を感じたと振り返っている。
「トランスジェンダーの子どもたちが、自認する性別のトイレを使ったりスポーツチームでプレーしたりすることを恐怖と感じる政治家がいます。私には理解できません。私たちは勝つために、必死に闘ってきました。それを白紙に戻すなんて、胸が張り裂けそうです。これは差別です。とても醜い差別です」