9月3日、日本音楽著作権協会(JASRAC)の発表にネット上で動揺が広がった。
JASRACは結婚式や披露宴などのブライダルの進行に合わせて、同社が管理する音楽や映像を複製する場合の「包括使用料」を導入するために、10月1日から1年間、実証実験を開始すると発表したからだ。
ネット上では「結婚式にまで金を徴収するのか」と反発する声も出ている。ハフポストでは、JASRACの広報担当者に事情を聞いてみたところ、少し話が違っていた。順序立てて説明しよう。
■JASRACは以前からブライダル関連費用を求めていた。
JASRACによると、オーケストラやバンドの生演奏に関しては、結婚式場が営利目的で「演奏」しているとして、以前から使用料を結婚式場に求めていた。
それに加えてCDやレコードなど録音物の再生に関しても2002年からは「演奏」にあたるとして、使用料を求めるようになった。2019年現在では、ホテルや結婚式場の多くで、すでにJASRACと「演奏」の手続きが済んでいるという。
その一方で、式の進行に合わせて、BGMの楽曲をコピーしてCD-Rに焼いたり、ネットからダウンロードしてパソコンやスマホ内に保存したデータを再生することや、結婚式の模様を撮影して配布することは「複製」に当たるという解釈だ。2013年に運用基準を定め、本格的に「演奏」とは別に使用料を求めるようになった。
■「包括使用料」の正体は?
今回、話題となっている包括使用料は、この「複製」に関わるものだ。これまでの運用基準では「複製」の使用料について、5分未満の曲をCD-R1枚に焼く場合は、1曲あたり200円などと定めていた。
しかし、曲数で決めると「事前に予算が立てられない」などと、結婚式を運営する事業者から不満の声が挙がっていたという。
そのため今回、1イベントあたり録音は5000円、録画は1万円と定めて、9月2日から20日まで事業者を募集し、10月1日から9月30日まで実証実験をすることになったという。これが「包括使用料」というわけだ。
JASRACの広報担当者は「ブライダル目的で音楽や録画を複製することの利用料を求めているのは、以前と同じです」として、新たに料金徴収を始めたわけではないことを強調した。
その上で、今回の取り組みについて「より利便性を上げるために1イベントでまとめて使用料を支払えるような仕組みの導入を検討したものです」と説明している。