PRESENTED BY スポーツ振興くじTOTO

「マラソンは遠足やお祭りのようなもの」市民ランナーが楽しめるマラソンの醍醐味とは

一過性のブームを超え、もはや国民的スポーツとなったマラソン。多くの人が虜になるマラソンの魅力とは何なのか。
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全国各地で開かれるマラソン大会。大会数、参加者数ともに上昇中

趣味でマラソンを楽しむ市民ランナーが増えています。全国各地で市民参加のマラソン大会が開催され、多くの人が参加し、楽しみ、記録に挑戦しています。もはや一過性のブームを越えたマラソン。

ランナー達をとりこにする、その魅力とは一体何なのでしょうか。

自身でクラブチームを創設し、競技の解説者やテレビ番組出演などで走ることの楽しさを伝え続けている金哲彦さんと、金さんが大会アドバイザーをつとめる「天童ラ・フランスマラソン」のご担当者に、走ること、マラソン大会に出場することの楽しさをうかがいました。

金哲彦氏インタビュー

東京マラソンがランニング人気の起爆剤に

――最近ではランニングが人気となり、日本に1000万人のランナーがいるとまで言われていますが、その理由は何でしょうか。

1つは時代の流れだと思います。2000年以降、急激にランナー人口が増えました。高度成長期やバブルがあり、ロストジェネレーションなどと呼ばれた時代を経て、多くの人たちが本物志向というのでしょうか、先進国の豊かな生活の中で本当に大切なものが何かということに焦点を当てるようになってきました。食を考え運動することで、自分の身体を自分で管理することが社会人のステータスとなり、ランニングする人が増えていきました。

もう1つは2007年から始まった東京マラソンの影響が大きいと思います。一般の方が参加できる大規模な国際大会が東京という大都市の中心で開催され、世界的に有名なランナーと共に普段は走れない場所を走れるチャンスが多くの人に開かれました。時代の流れというベースがある中で、東京マラソンが起爆剤となってランニングが一般にも広がっていったのではないでしょうか。

――金さんは2002年にNPO法人ニッポンランナーズを立ち上げられ、ランニングの普及に取り組まれています。

NPO法人ニッポンランナーズは総合型地域スポーツクラブの運営、競技選手のサポート、セミナーなどの活動を行うなど、新しい「クラブスポーツ」を担うために創設したクラブで、2002年、2003年にはtotoの「総合型地域スポーツクラブ活動助成」による支援もいただきました。私自身も月に1度、千葉県佐倉市の岩名運動公園のコースでのトレーニングに参加しており、楽しんでいます。

クラブを創設した2002年は、まだランニングブームが起こる前でしたし、総合型地域スポーツクラブという存在がまだ日本に定着していなかったので、最初は大勢で走る変わったクラブだなと思われていました。今では同じような考えで活動するNPOや一般企業が運営するクラブが増えており、NPO法人ニッポンランナーズに視察に訪れる方も多くいます。

42.195kmはつらいけれど乗り越えられる絶妙な距離

――マラソンは健康管理によいと言われますが、具体的にはどんな効果があるのでしょうか?

マラソンは年齢や性別に関係なく手軽にできる有酸素運動であり、負荷が高いものです。血液の循環を良くし、体脂肪を燃焼させることでメタボ対策になります。またマラソンには精神を安定させるというデータがあります。幸せな気分になって、ストレスが解消されるということですね。汗を流して気持ち良いというだけでなく、メンタルにも良い効果が現れます。

自分の体調管理のためでもいいし、レースに出るのならそれが楽しみや目標になったり、さらに一緒に走る仲間ができたりといろいろな広がりがあります。私たちのクラブでも、楽しみで走っている人から、レースで記録を狙う人や、フルマラソンに挑戦する人と、目的はほんとうに様々です。

――マラソンの競技としての魅力はどんなところにあるのでしょうか。

レースに出る楽しみも一人ひとり違いますね。記録を意識しているランナーは少しでもよい記録を目指して走りますが、必ずしも記録にこだわる必要はなくて、完走すれば一人ひとりが満足感を得られるのがいちばん良いところなのではないでしょうか。チームスポーツと違って補欠がなく、全員が選手ということも大きな魅力でしょう。

実は、42.195kmという距離が絶妙だと思っています。これ以上になると、長すぎて厳しいのですが、42.195kmはつらいけれども乗り越えられる長さなのです。未経験の方にとってはとてつもなく長いと感じる距離でしょう。確かに走れるようになっても苦しい距離なのですが、完走できたらそういった苦しさを克服したものすごい達成感を味わえる、それが、42.195kmという距離なのです。

市民ランナーにとって、レースは舞台であり、お祭りでもある

――そうしたマラソンの魅力が多くの人に伝わって、たくさんのランナーが誕生しているということですね。

その通りです。一般の方にとってマラソンは、競技というより走る楽しみの延長として捉えられていると思います。そこにレースというステージが用意されている感じですね。市民ランナーだと自分が日々取り組んできたことを表現する場となるので、レースは舞台であり、お祭りでもあると思います。競技者だと勝ち負けやプレッシャーがありますが、市民ランナーがマラソンを走るのは遠足に行くようなもので、楽しくてしょうがないと思います!

日本では一般の人が参加できるマラソン大会が増えています。これは大歓迎です。実際に大きなマラソン大会をやった地域では「せっかく地元に大会ができたのだから走ってみよう」というモチベーションにつながって確実にランナーが増えているのです。

――現在のマラソン人気を見ていて、以前と変化しているところはありますか。

私の印象では、2000年以前は年齢層が高かったように思います。40代後半~50代以上の人が健康管理の一環として走っていたのだと思います。最近は20代、30代の人が増えてきました。これはマラソンそのものの楽しさが理解されて広がってきた結果だと思います。ウェアやシューズがおしゃれになりましたし、マラソン大会がフルマラソンだけではなく、スイーツやカレーを食べるグルメ的な楽しみのある大会や、最近だといろんなカラーパウダーをつけて走るカラーラン、泡まみれになって走るバブルランのように、イベント的なものまで出てきています。

運営側がランナー目線で考えることが、マラソン大会成功の秘訣

――そういった大会のひとつ、山形県天童市の「天童ラ・フランスマラソン」のアドバイザーを務めていらっしゃいます。

2013年から参加するランナー目線で、企画内容やポスターなどのビジュアル、キャッチコピー、ゲストやイベントの内容など、大会全般のコンセプトづくりを市の実行委員会の方々と一緒にお手伝いしています。

「天童ラ・フランスマラソン」ですから、ラ・フランスがたくさん食べられるマラソン大会です。走っている時に立ち寄るエイドステーションのすべてに一口大に切ったラ・フランスが置いてありますし、参加者はゴールのスタジアムで食べ放題です。

――どのような経緯で携わることになったのですか。

市長から「市民の健康増進もあるが、観光を促進して交流人口を増やしたい。天童市はラ・フランスの生産が日本一で、それをPRしたい」と相談を受けました。そこで「ラ・フランス押しで行こう」ということになりました。マラソン大会の成功を示すバロメーターの一つがエントリー数なのですが、2015年は前年より1000人ぐらい増えて4500名ほどになったそうです。雑誌のマラソン大会100選にも取り上げられ、有名な大会の1つに仲間入りしました。

――地域のマラソン大会を成功させる秘訣はなんでしょうか。

運営側がランナー目線でものごとを見ることが大切です。あるマラソン大会の相談を受けた時に制限時間を聞いたら5時間というので驚きました。ハワイのホノルルマラソンは1万人以上が参加し、だいたい5~6時間で完走する人が多いので5時間にしたとのことでしたが、これはランナー目線ではありません。制限時間が短いと走り慣れていない人には敷居が高く思われてしまいます。それで東京マラソンに習い7時間に設定したらエントリー数が急増しました。こうしたランナー目線での配慮があるかどうかだけでエントリー数が千人単位で上下してしまうのです。

マラソンはブームではなく、広がり続けるムーブメント

――日本のマラソン大会、楽しむランナーの増え方を見ていると、マラソンはブームを超えた存在になってきたと思えます。

走ることはお金もかからず、手軽にできます。学生時代の思い出として、無理やり走らされた記憶があり嫌いなトレーニングだったという人がいますが、それは払拭していきたいですね。私自身はマラソンが好きで自分の好きなこと、楽しいことをみんなに伝えたくてやってきた感じですから、そういうイメージを持っている方には、楽しいマラソンというものをわかってもらいたいと思っています。そして、今の盛り上がった状況は一過性のブームではなく、アメーバのように広がっているムーブメントだと感じています。それぞれの地域のマラソン大会がオリジナリティと楽しさを持つようになり、走ることを通じた文化になってきていると感じています。

――今後走ってみたいと思っている人、すでにランナーになっている方にアドバイスをお願いします。

これから走ってみようという人はまず、ランニングシューズを買ってみてください。形から入ることは大切です。走ったことがない人がランニングシューズを履くと驚きますよ。とても軽くてクッションがあって、きっと「これなら走れそう」と思えるはずです。そして、おしゃれなウェアを着て近所を走ってみましょう。5分、10分と短い時間と距離から走ってみると少しずつ楽しさがわかってきて、距離も伸びていきます。

すでに走っているランナーの方は、目標を持ったほうが楽しくなるので、身近なマラソン大会に出てみることをおすすめします。半年後にハーフマラソン、1年後にフルマラソンに挑戦しようといった高い目標じゃなくていいのです。例えばダイエットのためとか、少しだけ距離を伸ばすとか、そういう目標の次にマラソン大会に出てみる計画を置いてトレーニングをしてみると、自分自身の進歩や達成感を感じられるようになって、楽しさが増すと思います。

市民ランナーからオリンピックを目指せるような選手を

――全国各地のマラソン大会の開催や総合型地域スポーツクラブの運営をはじめ、マラソンに関わる様々なことにもtotoの助成が役立てられています。そのことについてはどのようにお考えでしょうか。

私たちのクラブの発足時にも助成をいただきましたし、それ以外にも様々な助成をいただき、本当に感謝しております。全国各地のマラソン大会への助成も本当にありがたいと思っています。マラソン大会は沿道の警備やタイム計測などにお金がかかるので、ランナーの参加エントリー代で運営費用を賄えるところはほとんどありません。予算的に困っている大会を支援していただけていることには本当に感謝しています。

もちろん、マラソンのトップアスリートへの支援も引き続きお願いしたいと思います。日本のマラソン界は企業に所属する選手が主流ですが、例えば市民ランナーからもオリンピックが目指せる選手が登場するような状況が生まれたら、より理想的だと思っています。

――最後に、totoを購入することを通じてスポーツを応援しているスポーツファンへメッセージをお願いします。

スポーツファンの皆さんがtotoを購入してくださることで、私たちの様々な活動が支えられています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

私たちはスポーツを通じて少しでも社会貢献をすることで、皆さんにお返ししていければと考えています。これからも応援よろしくお願いします。

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金哲彦(きん てつひこ)

1964年2月1日、福岡県北九州市出身。早稲田大学在学中、箱根駅伝で4年連続5区を担当し、区間賞を2度獲得。1995年リクルート陸上競技部監督に就任。2002年にNPO法人ニッポンランナーズを立ち上げ、クラブチームブームのさきがけとなった。現在は市民マラソン大会のアドバイザーや、テレビ番組出演など、幅広い活動でマラソン競技の普及に貢献している。

天童市市民部文化スポーツ課 課長補佐(兼)スポーツ振興係長

今野浩一氏インタビュー

ラ・フランスを存分に味わえる、天童市ならではのマラソン大会

――2015年の天童市「天童ラ・フランスマラソン」は、11月1日に開催され、たいへん盛況でした。開催は今回で4回目ということですが、どういった経緯で始まったのでしょうか。

最初は、地元の農協がラ・フランス生産量日本一をPRしよう、ということで始まりました。天童市にはラ・フランス以外にも特産品があり、温泉などの観光名所もあります。そこで、市の方でも協力して全国に発信していこうということになりました。市内にあるNDソフトスタジアム山形(総合運動公園陸上競技場)をスタートとゴール地点にして、天童市農協、天童市、Jリーグの株式会社モンテディオ山形、天童市陸上競技協会の4団体で開催しています。もちろん、マラソンは天童市のランナー同士の交流や市民の健康増進という目的もあります。

――「天童ラ・フランスマラソン」ということで、やはり収穫の時期に開催しているのですか。

はい。ラ・フランス解禁の時期が10月下旬~11月上旬なので、それに合わせて実施しています。ラ・フランスは収穫後、食べ頃になるまで1週間から10日ほどかかりますので、開催に合わせて農協で準備しています。当日はコースのエイドステーションに置いて、果物の女王を走りながら味わっていただけます。参加者限定ですが、会場内ではラ・フランスが食べ放題となっており、たいへんよい評判をいただいています。

参加者に楽しんでもらうためのさまざまな工夫

――年齢別にカテゴリーがあるということですが、詳しく教えていただけますか。

距離にはハーフマラソン、5キロ、3キロの別があります。男女のハーフマラソンは、年齢で29歳以下、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60 歳以上と5つに分かれています。このような細かい区分になったのは2015年からです。世代による体力の違いや、前年度の参加者の方の声を参考にさせていただきました。5キロではそれに高校生男女を加えています。3キロでは小学生男女3~4年と5~6年と中学生男女、それに小学生と保護者のペアのファミリーという分け方をしています。それぞれのカテゴリーの1位を表彰し、モチベーションを高めていただくようにしています。

――他に何かイベントはあるのでしょうか。

コース上に2カ所応援イベント会場を設置しています。ここでは、小学生の和太鼓、獅子舞、お母さん方の踊りなど、地元の団体に出演していただいています。また、沿道で応援している皆さんに小旗をお配りしています。会場内ではゲストDJがゴール地点でランナーにインタビューして、場を盛り上げていただいています。

他にも、レース中はゲストと触れ合う機会が少ないということもあり、大会前にランニング教室を開いて、正しい走り方を指導していただいています。2014年には金哲彦さんにも来ていただきました。金さんには第2回大会から大会アドバイザーとしてご協力をいただき、ゲストに誰を呼んだらいいかをはじめ、大会運営に関するアドバイスをいただいています。まさにランナー目線で、ランナーが喜ぶご意見をいただき、たいへん助かっています。

toto の助成金のおかげで、多くの方がより参加しやすい環境が作れている

――大会の参加者や運営の方はどのくらいいらっしゃるのですか。

参加者は年々増えており、1回目は500人、次が2000人、3回目になる2014年は3000人目標で実際は約3300人の参加がありました。「天童ラ・フランスマラソン」は多くのボランティアのご協力で運営しているので、一気に人数が増えてしまうと運営が難しくなります。規模だけ大きくして参加者をがっかりさせてしまわないように、今年は4000人という設定をしました。おかげさまで、今回の大会では男女のハーフマラソンが2631名、5キロが898名、3キロが1000名と、トータルで4529名と多くの方にご参加いただきました。来年は5000人を目指したいと思います。

運営スタッフは、天童市の職員が約320人、教職員が約90人で、ボランティアの方が600人ほどです。またコースに医師免許を持つメディカルサポートランナーの方に協力いただいて、救急隊と連携してランナーの方が安全に走れるように心がけています。

――そんな「天童ラ・フランスマラソン」にはtotoの助成金が使われています。toto助成はどのように役立てられているのでしょうか。

駐車場から会場までの誘導や関門まであと何キロといった看板製作、ランナーの計測、タイム表示など、ランナー目線に立った大会運営の一部に使わせていただいています。おかげさまで参加者の皆さんからも高い評価をいただいております。totoの助成金のおかげで、より多くの方が参加しやすい環境作りができていることを本当にありがたく思っています。

――最後に、totoを購入することを通じてスポーツを応援しているスポーツファンへメッセージをお願いします。

「天童ラ・フランスマラソン」にtotoの助成金を有効に活用させていただき、非常に感謝しています。totoを購入されるみなさんも機会があれば、この大会に参加していただきたいと思っていますし、いろいろなスポーツに親しんで、健康づくりにますます関心を持っていただければ幸いです。これからもどうぞよろしくお願いします。

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