日本列島の東側にある日本海溝沿いで、マグニチュード9クラスの巨大地震が起きた場合、最悪のケースでは津波で19万9000人が死亡する。想像を絶するほどの被害想定を内閣府が12月21日に発表した。
内閣府は「対策を講じれば、被害量は減じることができる」として、「正しく恐れる」ことが重要と指摘。パニックならずに冷静な対策をするように求めている。
■東日本大震災よりも高い津波が襲来?日本海溝沿いの巨大地震とは…
⽇本海溝・千島海溝沿いで最⼤クラス(マグニチュード9クラス)の地震が起きることを想定し、震度分布・津波⾼等を2020年4月に推計した。
震源地が日本海溝沿いの場合は、⻘森県太平洋沿岸や岩⼿県南部の⼀部で震度6強の揺れが生じる。津波の高さは、三陸沿岸では岩手県宮古市で約30メートルになるなど、岩⼿県中部以北で東⽇本⼤震災よりも高くなるという。
内閣府は2020年4月に「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ」を設置し、これまで 9回の会合を開いてきた。今回の報告は、その結果をまとめたもの。東日本大震災の教訓を踏まえ、「何としても命を守る」ことを主眼として、 防災対策を検討するために想定したという。
死者数を算出したところ、巨大地震が日本海溝沿いの場合は「約6000人~約19万9000人」。千島海溝沿いの場合は「約2万2000人~約10万人」とした。そのほとんどが津波による死者だという。
報道発表資料の中で、内閣府は「今回の被害想定は、被害の様相や被害量を認識・共有し、効果的な対策を検討するための資料として作成したものであり、対策を講じれば、被害量は減じることができる」と指摘。
その上で「大地震・津波が発生した際に起こりうる事象を冷静に受け止め、『正しく恐れる』ことが重要」とパニックにならずに対策するように促している。