新型コロナウイルスの影響で、急速に普及しつつあるテレワーク。東京都が実施した調査では、2020年3月から4月の間に、テレワーク導入企業は24.0%から62.7%に急増している。小規模企業(*)でも54.3%と、今や多数派となった。
とはいえ、二の足を踏む企業も多く、“二極化”が進んでいるのも事実。特に中小企業から多く聞かれるのが、「コストがかさむのでは」「従業員が高齢化しており、ウェブ会議ツールなど使いこなせるか不安」などの声だ。
「100%テレワーク導入でコスト削減を見込み、シニア社員もITツールを活用」。そんな会社が、建設会社のマッチングを手がけるITスタートアップ「ローカルワークス」だ。
代表取締役の清水勇介さんと、“大工歴35年、58歳からITに挑戦し始めたスーパーシニア”として注目を集める同社カスタマーサクセス担当の渡邊一伸さんに、テレワークのメリットや今後の展望を聞いた。
◼️「100%テレワーク」で家賃8割カット
ローカルワークスがテレワークを部分導入したのは、設立間もない2014年ごろ。元々は、子育て中などの社員がフレキシブルに働けるように始めた制度だった。
「全社員100%テレワーク」に舵を切ったのは、新型コロナウイルスの影響が深刻化してきた2020年4月。まずは社員の健康のため、ひいては会社存続のため、素早い決断だった。
「最初はドギマギして、自宅でできるのか心配だったんです」と話す、渡邊さん。そんな社員のため、同社がテレワーク導入にあたって工夫したのは、業務の「見える化」だ。
毎朝9時半には、ウェブ会議システムを使って社員全員が顔を合わせ、業務の確認をする。「みんなの顔が一斉に見られるのは、オフィスと違ったメリット。安心できるし、気が引き締まる」と、渡邊さんは毎朝おきまりの作業着で挑む。
細かな業務連絡は、社内チャットのオープンチャンネルを利用し、記録を残していく。業務データは、随時クラウドで共有。テレワークのネックとなっていた電話もクラウド化し、問い合わせ等にも各社員がスマートフォンで出られるようにした。担当シフトを組むことで、見えない負担が誰かに集中することも防ぐ。
さらに経費削減のため、4月早々にオフィスを解約。
家庭の事情などで仕事場を必要とする従業員のために、都内10箇所以上で利用できるシェアオフィスを契約したが、それでも「家賃8割をコストカットできる見込み」(清水さん)。チャットツールなどの費用も、1アカウント月数百円〜が相場。大きな負担にはならず、国や自治体の補助金制度を利用することもできる。
◼️仕事とプライベート、あえて曖昧でもいい
渡邊さんにとって、テレワーク最大のメリットは、通勤ストレスの解消と、家族との時間の増加だ。
「この歳ですから、片道1時間半の通勤がなくなったことがありがたい。満員電車で疲れて仕事を始めるより、モチベーションも上がります。親の介護をする時間もでき、かわいい孫とひ孫にも会いやすくなりました。私の働き方を見て『じっちゃん、すげーな』って言ってもらえるんです」と微笑む。
テレワークのデメリットを尋ねると、「太ったことだけかな(笑)」
清水さんも通勤や会議のはしごなど移動時間が減り、時間効率が向上したのが、自身にとって最大の効果だ。仕事のスピードが上がり、2歳になる子どもの面倒を見ることもできる。
「仕事とプライベートの境目は、曖昧でもいい時代になってきた。自分で時間の使い方を決められる方が、心の調和が取れ、パフォーマンスも向上するのでは」(清水さん)
◼️1000万円売上増も。「60代の私でもできる」と取引先を説得
「60代の私でもできるんだから、誰でも始めてみれば、ツールを使えるようになる」渡邊さんは今、自身の経験をもとに、取引先である中小の建設会社にも、声がけしている。
「私自身、昔は大工として『足で稼ぐ』をモットーにしていました。でも今の時代、いつでもどこでも働けて、すぐにお客さんと話をできるテレワークを導入した方が、仕事のチャンスをより早く、より多く掴めるのは間違いありません」
渡邊さんによると、問い合わせが増えて、1000万円単位で売上がアップした人もいるという。
◼️ダメだったら元に戻せばいい
今後の自身の働き方についても、ITを活用し、テレワークを続けていきたいと語る渡邊さん。
「会社のおかげで脳みそが変わり、YouTuberデビューも果たすなど、楽しみが増えました。テレワークもやってみたらメリットにも気づきましたし、明日は明日の挑戦をしてみようって。何歳になっても、新しいことを始められるんです」
清水さんは、テレワーク導入を迷う企業に向けて次のように語る。
「どういう会社にしていきたいかを出発点にして、本質的にメリットがありそうだと感じたら、まず挑戦してみてください。ダメだったら元に戻せばいい。ノートPCとツールさえあれば、大きなコストをかけずにすぐに始められます。きっとプラスの効果が見えてきますよ」
◼️時代に取り残されないために…
4月からテレワークを本格導入し、経費削減や社員の満足度向上など、成果が見えつつあるローカルワークス。
「時代に取り残されないため、自社でもテレワークを取り入れるべきなのか?」そんな疑問を抱える企業にチェックしてほしいのが、パソコンメーカー各社と日本マイクロソフトが一つになって発足した「中小企業のテレワーク応援プロジェクト」だ。
テレワークの導入手順や補助金の案内などがまとめられたe-Book「中小企業のためのテレワークガイド」を提供するほか、各メーカーがテレワークに適した「最新 Offfice 搭載 Windows 10 PC」を展開。カメラやマイクを内蔵し、Word、Excel、PowerPointなども搭載するだけでなく、高度なセキュリティ対策で、プライバシー保護においても安心できる仕様だ。
これらのPCで、チャット、ビデオ会議、通話、ファイル共有が一つになったアプリ「Microsoft Teams」を使えば、データは暗号化などによって保護されるので、セキュリティの心配をせず、すぐにテレワークを始めることができる。
現在「無料で始められる Microsoft Teams」も提供中。下記の各パソコンメーカーのサイトからダウンロードできるので、まずは第一歩を踏み出してみてほしい。
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