去る10月22日(土)、日本政策学校8期生の卒業発表が開催されました。
卒業発表は、本校における唯一の卒業要件で、単なる研究発表ではなく、卒業後の志と行動計画を発表するものです。
本校は学んで終わりではなく、学んだ後に社会をよりよくしていくために行動を起こしていくことを重視しております。10月22日は、政治家以外の立場で、政治と関わって社会をよりよくしていくことを目指す受講生の発表でした。
審査員は、株式会社 NOBORDER代表取締役の上杉隆氏、弁護士の倉持麟太郎氏と、本校学長の金野索一の3人。
まず、光原ゆきさんの発表です。
光原さんのふたりのお子さんは、病気をかかえて出生し、いくつもの病院で付き添い入院しました。下のお子さんが亡くなられ、悲しみのなかにいるとき、ある人から「子は親を選んで生まれてくる」と言われて我に返ることができました。
いつまでも落ち込んでいては、亡くなった我が子に申し訳ないという思いより、病気の子をもった母親を支援しようと、入院中の子をもつ親の宿泊施設で、食事をつくるミールプログラムを立ち上げました。
この原体験に基づいた発表は、会場に深い感動を与えてくれました。
次は、伊豆丸展代さんの発表です。
朝日新聞の記者だった伊豆丸さんは、ある日、ホスピスの訪問取材をしました。
そこで目の当たりにしたのは、『死を待つひとの家』という暗いイメージとはかけ離れたものでした。
がん患者は、かわいそうなだけの存在ではない、そのひとに残された時間をいかに有意義にすごしてもらうかというテーマに記者ではできないことに取り組もうと考えたそうです。新聞社を退職して、今後やりたいことは、診療報酬の枠組みにとらわれない緩和ケアの在り方を考え、つくることです。
3番目の発表は、吉井弘和さんです。
吉井さんは、イギリスに留学して現地の政治の現場を目の当たりにして、自分の次のステップとしてどんな課題認識をもち、何を実現していくのかなどの論点を整理されました。
今後のステップとしては、現代の政治行政に対して、どのような課題をもって実現していくのか、最終的にはどのような立場でその実現に貢献するのか、そして今後どのようなキャリア形成を考えていくべきか、さらに最終的にめざす姿に向かうには、どのようなオプションが存在し、何がベストなのかについて理路整然たる考察をされておられました。
ネットワークづくりについては、具体的に活動しながら考えていきたいとのことでした。
4番目の発表は、田中眞希さんです。
いきなり会場のみなさんに立っていただいて、音楽に合わせて体操です。
田中さんは、国民医療費の総額が上がっているため(理由なのか、比較なのか?)、日本の医療費を全部変えるべきかについて考え、解決策として体操を思いついたということです。日本の子どもたちの運動機能は低下しているので、小児期のヘルスリテラシーを高めることが、医療に依存する現状を改善するという結論にたどりついたということです。
活動プランとして、各地域の小学校で講演をしたり、ロビー活動したりすることを考え、運動機能の大切さを親子で知ってほしいと主張されておられました。
5番目は井村良英さんの発表です。
井村さんは、あたみ、という地域活動を地域の自治会の副会長、子ども会の副会長、主任児童委員、地域包括支援センターのケアマネジャー、児童館の館長、地域福祉コーディネーター、大学生などの仲間と一緒に6月から始めました。
その地域活動は中学校区くらいのエリアで、地域の人が地域に住む人のためにやりたいこと、できることを持ち寄る形式で運営されていて、子ども・若者・大人の孤立と孤独をなくすことを目的にしています。支え手や受け手という区別がなく、「楽しみ」をベースに困りごと掛け合わせ方式などで地域に今日、行く場所と今日、用がある状態を作る工夫をしている話がありました。
6番目は、平山実さんの発表です。
平山さんは、政治家に誰がふさわしいかという論点を考察されました。
政治家とは、どのような人物が選ばれ、どのようなひとがふさわしいのか、そして選挙運動を面接に例えておられました。
また、若い、美人であるなどの直観的選択指標についての説明や、「政策は1つでよい」、「発言はつねに1ワードにとどめるべきである」などの、ユニークな発表でした。
大トリを務めたのは、古城正信さんです。
戦争や飢餓のない世界をめざしたいと、本校に入学された古城さんは、政治家になるのでなく、労組を通じた間接的な政治参加をめざしておられます。労組の発言力はまだ衰えてはいないと、できることから政治に参加していきたいという思いを語られました。
本校に学んで、いろんな思いをもった方に会えたことが、自分の思いを実践しようというきっかけとなったということでした。ほかにも政党を通じた政治参加など、政治との関わり方はいろいろあると語っておられました。
みなさん、お疲れさまでした。
これらをどう実現していくのか、これからが本番です。
大きな拍手をもって、本日の卒業発表会は閉会となりました。