慰安婦合意、日韓で摩擦。河野外相「合意変更なら管理不能に」 ⇒ 韓国大統領「重大な欠陥があった」 

「性奴隷」の表現を使わないとした非公開の合意があった。韓国の外相直属の検証チームが主張
2015年12月28日、慰安婦問題の日韓合意を結んで握手する岸田外相(左)と韓国の尹炳世外相
2015年12月28日、慰安婦問題の日韓合意を結んで握手する岸田外相(左)と韓国の尹炳世外相
POOL New / Reuters

慰安婦問題の日韓合意から12月28日で、ちょうど2年を迎えたが、日韓の温度差が激しくなっている。

日本政府が2015年、朴槿恵政権と結んだ日韓合意は、元慰安婦を支援するための財団を韓国政府が設置し、日本政府の予算から約10億円を拠出するという内容だった。

安倍首相が元慰安婦に「心からお詫びと反省の気持ち」を表明するとともに、「最終的かつ不可逆的」な解決とすることが盛り込まれていた。

■「性奴隷」という表現を使わないとした非公開の合意か?

しかし、朝日新聞デジタルによると、交渉過程などを調べていた韓国の外相直属の検証チームは27日、検証結果を発表。両政府が当時公表した合意のほかに、韓国政府が慰安婦問題に関して「性奴隷」という表現を使わない、などとした「非公開の合意」があったと指摘。韓国側の負担が大きい「不均衡な合意」だったとした。

康京和(カンギョンファ)外相は同日、記者会見で「韓日関係に及ぼす影響も考慮し、合意に対する政府の立場を慎重に決める」と語った。検証結果を受け、韓国内で合意への批判が強まる可能性がある。

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は28日に声明を発表。「手続き上も内容上も重大な欠陥があったと確認された」と指摘した。「両首脳の追認を経た政府間の公式的な約束という重みはあるが、大統領として、この合意では慰安婦問題は解決されないと再び明らかにする」と表明した。 

■「万が一、合意が変更されることがあれば...」河野外相が牽制

一方、これに対して日本政府は反発を強めている。NHKニュースによると、河野太郎外相は27日夜、訪問先のオマーンで記者団に対し、以下のように話した。

「万が一、合意が変更されることがあれば、日韓関係は極めて管理不能な状況になる。『前の政権がやったことは知りません』ということでは、これから先、日韓が合意するのは何事においても難しい」

韓国側が合意の破棄や見直しを求めてくれば、日韓関係に重大な影響を及ぼすことになるとけん制した格好だ。

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