1月6日党会派の政調会議にてH27年度補正予算(H28年1月~3月)の各省からの説明を受けました。10省庁から2時間にわたり、総額3兆5000億円の中身について説明を受けましたが、その感想を一言で言うと「このままでは日本は潰れる!」でした。
補正予算とは、本予算と違いその年度の予算について緊急に追加することを目的としていています。予算は、その年度内に使い切るのがルールですから、例えば来年度(H28)つまり今年の4月から使うものであれば、来年度の本予算で対応するべきです。既に、H28年度の予算案も提出されH27補正とH28本予算は並行して国会に提出され審議されています。
つまり、不要不急のものは補正予算には入れるべきではありません。そして、3月までに使われない予算は、来年度の本予算として議論するべきです。ですから、補正予算とは本来毎年計上、審査されるものではなく、とても例外的なものだという事になります。
そして、補正予算の特徴は、その国会審議が非常に短いという特徴もあります。今回の3兆5000億円規模の補正予算が実質衆参それぞれ2日、合計4日間の予算委員会のみで質疑され決まってしまいます。本予算であれば、衆参それぞれで1か月以上かけて議論されます。つまり、補正予算は、政府官僚から見れば、こそっと盛り込んでしまえば非常に国会を通しやすい予算とも言えます。
補正予算の審議の仕組みの解説はこれぐらいにして、私が何で「これでは日本は潰れる!」と怒っているのかというと、ほとんどの補正予算の内容が不要不急ではないか、特に3月末までに使い切れないぐらい計上していることです。3月末までに使い切れないからといって、国民にそのお金が戻ってくるわけではありません。基金や独法(独立行政法人)その他財政法のカラクリをうまく使って飛ばしを行います。
例えば、国交省が出してきた補正予算には、「自然災害リスクを踏まえた緊急防災対策」の予算に3611億円が計上されています。予算名称からみたらなるほど、緊急の予算に見えますが、この予算、執行するには、道路、港湾の施設整備のために、各都道府県におろして防災対策の計画を提出させて、施設の複数業者から提案させ入札を行い、その審査をして執行する必要があります。
1月中旬に補正予算が国会を通過してもここまで来るのにどんなに早くても2月末までかかるでしょう。そして、そのお金を3月末までに使い切らなくてはなりません。日本の予算は民間会計と違い、「現金主義」で執行はその年度に使い切るのが原則だからです。(だから、バランスシートも持っていません)
つまり、すでに使えきれない予算を何らかの形でプールしてガメておくのです。何でそんなことをするのか?それは、来年度の当初予算を膨らませない様にする、本予算での質疑では国会で説明に窮するものを実質の質疑時間がほとんどない補正予算の審議で通してしまいたい、官僚の天下り先に有利な予算を当てておきたいなど、理由は色々あるのだと思います。
こんな調子で、我々の血税が使われていきます。結局、補正も本予算も全体では、その期の税収で賄えないわけですから、結局、国債発行ということになり国の借金になってしまいます。
この借金は誰が負担するのか?それは、将来の国民です。つまり次の世代の子どもたちです。つまり、こんないい加減な予算を我々がジャブジャブと使い、その付けは子ども達にさせるという構図ではないでしょうか?
本当にこんな国の放漫経営では、この国は潰れてしまうと思います。私は、国会議員として、また、参議院の予算委員会委員としても闘うつもりです。
ここで、今回、ここが変だよと思う予算について一部を以下に挙げたいと思います。みなさんはどう思われますか?本当に緊急性を要するものでしょうか
・地方創生加速化交付金 1,000億円(内閣府)
・総合的な緊急防災事業交付金として、道路整備への交付金 997億円(国交省)
・国の危機管理に資する宇宙インフラの整備等 878億(文科省)
・畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業の基金化 610億円(農水省)
・ごみ焼却場の更新など、循環型社会形成推進交付金等554億円(環境省)
・自衛隊の安定的な運営体制の確保 526億(防衛省)
・産地パワーアップ事業の基金化 505億円(農水省)
・防衛施設の円滑な運営の確保等 403億(防衛省)
・農地の更なる大区画化、汎用化の推進 370億円(農水省)
・合板・製材生産性強化対策事業の基金化 290億(農水省)
・水産業競争力強化緊急事業の基金化 225億(農水省)
・三世代木造住宅、サービス付高齢者住宅、公団の建替え等1億総活躍社会実現と称した建設関連費用350億円(国交省)
・間伐などの森林整備事業 171億(農水省)
・畜産クラスターを後押しする草地整備の推進 164億(農水省)
・危機管理強化のための情報収集衛星の開発等 105億円(内閣官房)
・担い手経営発展支援金融対策の基金化 100億円(農水省)
・水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化等の推進406億円(農水省)
・ICTによる生産管理等の最新技術の実用化等 100億(農水省)
・日中植林・植樹国際連帯事業 90億(外務省)
・急増する訪日外国人観光客への緊急対応と称したプロモーションやインバウンド推進対策86億円(国交省)
【その他】
緊急性の高いと言われる補正予算が予備費も含めると年度予算3,383億を上回る3,897億円になっているアンバランスな状況(経産省)
(2015年1月7日 山田太郎オフィシャルWebサイト「こんなむちゃくちゃな予算では日本は潰れてしまう」より転載)