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心と体と向き合う「6分0秒」。一青窈さんが、歌を通してエールを送る「PAH」とは。

肺動脈性肺高血圧症「PAH」を知っていますか?女性に多くみられるこの病に、歌を通して「できること」があります。
KOHEI HARA

一青窈(ひとと よう)さんが2021年4月22日に発表した『6分』は、再生時間もきっかり6分0秒の楽曲です。 

肺動脈性肺高血圧症 (以下、PAH)の患者さんたちが、診断や経過観察で受ける「6 分間歩行検査(※)」に着想を得て、一青窈さんが作詞を担当。ときに長く、つらく感じることもある6分0秒に向き合う患者さんたちにエールを送るとともに、PAHが決して「他人事」ではないことを知るきっかけになることを目指しています。

PAHはあまり知られていませんが、女性に多く見られ、私たちにとっても決して「他人事」ではない病気なのです。

楽曲制作において、患者さんの声に触れてきた一青窈さんと一緒に、PAHの専門医・大郷剛先生に話を聞きました。

一青窈さんが知りたい、「他人事」じゃないPAH

(写真左から)国立循環器病研究センター 医長、肺高血圧症先端医学研究部 部長の大郷剛(おおごう たけし)先生。歌手の一青窈(ひとと よう)さん。
(写真左から)国立循環器病研究センター 医長、肺高血圧症先端医学研究部 部長の大郷剛(おおごう たけし)先生。歌手の一青窈(ひとと よう)さん。
HUFFPOST JAPAN

一青窈さん 『6分』という楽曲は、PAHのことを一人でも多くの人に知ってほしい、という思いから生まれました。作詞にあたり、実際に患者さんとお話をさせていただいて、PAHという病気のことを初めて知りました。

息苦しさをはじめとする症状、6分間の検査、長期にわたる治療...。今日はPAHへの理解をより深め、さらに患者さんたちの気持ちに向き合うことができればと思っています。

大郷先生 PAHは、簡単に言うと「肺の高血圧症」。全身の血圧が高いと「高血圧」と診断されますが、その状態が、心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)で起きる病気です。

人間の体では、心臓から全身に血液を送る際、酸素を取り込むためにまず肺に送られます。その時に、心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)の圧力が高くなってしまうのが、肺高血圧症です。

肺高血圧症にはさまざまな原因があり、「肺疾患」「血栓」「原因不明」など、大きく5つに分類されています。そのうちの一つが、肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary Arterial Hypertension:PAH)です。

一青窈さん 私がお話しした患者さんは、同年代の女性で境遇が似ていたので、すごく感情移入して話を聞いていて、決して他人事の病気じゃないなと感じたんです。

大郷先生 日本には約3,900人のPAH患者さんがいます。全体で見ると、10〜80代と幅広いのですが、女性の患者さんは、男性の約2倍いらっしゃいます。

一青さんが話を聞いた患者さんのように、若い女性にも多く発症が見られ、就職、結婚、出産などさまざまなライフイベントにも関わってくる病気と言えます。

 “気づきにくい病”に、私たちができること

一青窈さん PAHの主な初期症状には「息切れ」があると聞きましたが、階段を駆け上がったり、駅まで少し走ったりすると、健康な人でも息切れしますし、なかなか気づきにくいのではないかと思います。PAHを疑うべき目安はあるのでしょうか?

KOHEI HARA

大郷先生 最初は症状が非常に軽いこともありますが、病気の進行とともに「息切れ」「胸の苦しさ」といった症状が出てきます。階段を上るだけで息切れをしたり、周りの人が歩くスピードについていけなくなったり。今まで、何も気にせずにできていたことが、だんだんできなくなってしまいます。

少しでも異変を感じたら、循環器内科を受診するなど、医師に相談してみてください。 

一青窈さん あまり知られていない「希少疾患」だからこそ、周りの方からなかなか理解されないのではないかと思います。そうした病気ならではの、心のケアはどのようなものがあるのでしょうか?

大郷先生 おっしゃる通り、精神面でのケアはとても大切です。

患者さんは、病気自体への不安と向き合いながら、大変な治療を受けています。日々、心身に多くの負担がかかっているんです。

例えば、重いものが持てなかったり、洗髪の際にサポートが必要だったり、電車に乗っているだけで苦しい時もありますが、見た目では分からないのでなかなかわかってもらえない。患者さんによっては、酸素ボンベを持って生活している方もいらっしゃいますが、周りから邪魔だと思われたり、見た目が気になったり...。病気への理解の低さが、心理的負担につながってしまっているのが現状です。

一青窈さん だからこそ、PAHという病気があることを知ってもらうのが大事ですよね。その先に、患者さんやそのご家族が抱える悩みや不安も推し量ることができるようになると思っています。

PAHを知らない方にとっても、「6分間の歩行検査をする、PAHという病気があるんだ」ということを知るきっかけになれば、という思いで作ったのが『6分』です。

『6分』を通して、一青窈さんが知ったこと

疾患啓発のために一青窈さんが制作した『6分』には、PAH患者さんやそのご家族、周囲の方、そしてPAH以外の患者さんや医療関係者の方々からも、たくさんの感想が寄せられています。

「PAHと診断されて17年目。見た目ではわからないことが多く、聞き慣れない病気に理解されないこともたくさんあります。この曲を通して、病気への理解が広まればうれしいです」

「PAHという難病についても、6分間歩行検査についても初めて知りましたが、少しだけ理解できるようになりました」

「6分間歩行検査、息苦しさのしんどさを思い、涙が溢れました。患者さんの不安に寄り添える曲、素晴らしいな」

「PAHに限らず、いろいろな病とたたかっている人、何かに頑張っている人に通じる、心に寄り添ってくれる応援歌だと思いました」

患者さんが体と心と向き合う「6分0秒」に、一青窈さんはどのような思いを込めて、作詞をしたのでしょうか。

KOHEI HARA

一青窈さん 患者さんのお話を聞いていて、6分間歩行検査は、まるで出口の見えない真っ暗なトンネルの中を、一人でひたすら歩いているようだと感じたんです。せめて、その6分間に寄り添えたら、という想いを込めて作詞をしました。

私のような歌い手は歌で寄り添い、そして現場では、大郷先生たち医療従事者のみなさんが患者さんたちをサポートされていますよね。そうして社会が少しずつ変わって、PAHだけでなく、その他のさまざまな疾患を理解し、受け入れられるようになっていけば良いなと思っています。

大郷先生 先日、全国の患者会でこの曲が流れたら、患者さんたちがみんな涙を流していて。その姿を見て、私ももらい泣きをしてしまいました。

一青窈さん この楽曲が目指すのは、まずはPAHという言葉を知ってもらうこと。聴いてくださった方からたくさんコメントをいただいていますが、「こんな病気があるって知らなかった」という声を聞けると、私の役割を果たせたかな、と思うんです。この楽曲が作る「6分0秒」が、PAHの理解を深め、患者さんたちに思いを馳せられる時間になればうれしいです。 

一青窈さんと大郷先生は、リモートで対談を実施しました。
一青窈さんと大郷先生は、リモートで対談を実施しました。
KOHEI HARA

◇◇◇

患者さんの6分間を、みんなで進む6分間に変える、Spotifyの音楽プレイリスト「6 minutes together」も公開中です。一青窈さんの『6分』を含むプレイリスト、ぜひ聴いてみてください。 

12月17日19:00からは、一青窈さんによるPAH応援スペシャルライブ「Live For Hope」が生配信されます。視聴は無料です。

みなさんも、まずはPAHを知ることから、始めてみませんか。   

※「6分間歩行検査」は、PAHや慢性呼吸器疾患、心疾患などの患者さんが受ける検査の一つです。右心カテーテル検査や採血、心エコーなどと共に実施され、6分間歩行検査のみで病気が診断されることはありません。

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