サウジ記者は皇太子の「目障り」? 弾圧や改革を批判
■サウジ人記者ジャマル・カショギ氏殺害疑惑の背景
カショギ氏は昨夏に渡米し、サウジの言論弾圧や隣国イエメンで続く内戦への介入について、ワシントン・ポスト紙への寄稿などで厳しく批判してきた。
今年5月、サウジで女性の自動車運転が解禁されるのを前に、女性活動家らが拘束された際には、「いかなる活動も政府の範囲内で行われなくてはならず、独立した声も反対意見も許されないということだ」と政府の対応を非難。イエメンへの軍事介入についても、「私の国の名声はひどく傷ついた」と記した。
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サウジ政府がこうした指摘を目障りに感じた可能性は小さくない。社会改革もイエメンへの介入も、改革派と期待されたムハンマド皇太子が中心になって手がけていたためだ。
ムハンマド氏は昨年6月、父・サルマン国王の後ろ盾で31歳の若さで皇太子に昇格。反汚職を掲げ、有力王族や閣僚を一斉に逮捕するなど、国内の権力基盤を固めてきた。国内では若者を中心に支持を集めるが、これらの強硬姿勢や改革に対して、一部の王族や保守層からの反発もあるとされる。
ムハンマド氏は社会改革によって外資を呼び込み、財政収入の多角化も目指していた。政府として、カショギ氏による批判が自国への投資や協力に影響すると考えた可能性がある。(ドバイ=高野裕介)
(朝日新聞デジタル 2018年10月20日 22時14分)
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