岩手県の地元紙「岩手日報」は、東日本大震災で亡くなった人の遺留品を見つけるための「技術」を募集している。
3月11日に専用のサイトを立ち上げた。
■行方不明者の捜索「頭打ち」
東日本大地震では、これまでに1万5897人の死亡が確認された一方、2533人が行方不明のままとなっている。このうち、岩手県では1114人がまだ見つかっていない。
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これまでも警察などが、毎月11日の月命日の前後に海岸で遺留品の捜索を行ってきた。しかし岩手日報の担当者によると、年々発見される骨片などの遺留品は少なっていて「頭打ちになっているとも言われている」という。
■「洋服の切れ端でも」探す技術を
今回の募集をきっかけに見つけようとしているのは、遺骨や衣服の切れ端、それに財布などの被災当時の所持品。
ベンチャー企業や研究者などを想定し、砂浜に埋もれた遺留品を探し当てる技術や、海底を探索する方法などを募集している。
一般の人からも捜索方法や場所などについてのアイディアを募る。
応募は専用のサイトから。採用の見込みがある場合は岩手日報側から応募者に連絡する。
県内の自治体と協議し、予算をつけることも検討するという。
岩手日報は今回の募集に合わせて、遺留品の帰りを待つ被災者の声を、動画で紹介している。
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このうち、母親が行方不明だという岩手県大槌町の岩間徹さん(56)は、母のポイントカードを今も持っている。カードに書かれた名前は、母が自らの手で書いたものだからだ。
「これだけですね、持っているのは。もうあとは何もないですね」といい、「洋服の切れ端でも戻ってきたらな、というのはあります」と切実な思いを打ち明けている。