シリア、イラクで勢力を拡大し、その後両国軍などの攻撃で壊滅に追い込まれたテロ組織「イスラム国(IS)」の戦闘員だったイギリス人2人が拘束された。2人は「ビートルズ」と呼ばれた4人組のイギリス人戦闘員組織に所属していた。この中には、ジャーナリスト後藤健二さんらを殺害し、「ジハーディ(聖戦士)・ジョン」と呼ばれた男もいた。
ニューヨーク・タイムズなどが2月8日報じた。
拘束されたのは、アレクサンダ・コーティ(34)とエル・シャフィ・エルシェイク(29)の両容疑者。2人は1月中旬、イラク国境近くのシリア領内に潜伏しているところを、ISの掃討作戦を展開しているクルド人の武装組織「シリア民主軍」に見つかり、拘束されたという。
2人は身柄をアメリカ軍に引き渡され、身元が判明した。
BBCによると、2人はかつてロンドンに暮らしていた。ほかのロンドン出身のイギリス人2人とともに戦闘員としてISに参加し、「ビートルズ」と呼ばれるグループをつくっていた。覆面姿でISが公開した人質殺害ビデオに登場した「ジハーディ・ジョン」(本名・モハメド・エンワジ容疑者)もメンバーだった。
4人はISが自らの首都と宣言していたシリア・ラッカで、主に欧米の人質を殺害する役割を担った。27人以上を拷問し、「処刑」と称して殺したとされる。
ニューヨーク・タイムズによると、コーティ容疑者は人質に電気ショックを与えたり、水責めをしたりする拷問に関与したほか、複数のイギリス人をISに引き入れようと活動した疑いが持たれている。
エルシェイク容疑者は2012年にシリアに渡り、当初はシリアの別のテロ組織「アルカイダ」に所属したが、その後ISに入り、水責めなどの拷問に関与した疑いがある。
エンワジ容疑者は2015年、アメリカなどの有志連合軍のドローン(無人機)による空爆で死亡したとされる。もう1人のメンバー、エイネ・デイビス容疑者は2016年、トルコで拘束された。