約40年間、女性のスタジアムでのサッカー観戦が禁じられていたイランで、女性たちが、観戦できるようになった。
女性サッカーファンたちが待ち望んでいた、観戦の自由。
それが実現したのは10月10日に首都テヘランで開かれた、サッカーワールドカップ2次予選のイラン対カンボジア戦だ。
多くの女性ファンたちが顔にペイントをし、国旗を掲げて自国のサッカーチームを応援した。
イランでは1979年にイスラム革命が起き、1981年から女性はサッカーなどのスポーツ観戦が禁じられていた。
男性は直接観戦できても、女性たちは家でテレビしか見られない。そんな状況にフラストレーションを募らせ、中には変装してスタジアムに忍び込む女性ファンもいた。
今まで、テレビでしかサッカーを見たことがなかったという29歳の女性はAP通信に、「スタジアムに行けるようになってとても嬉しい。言葉では表せないような気持ちです」「ここに来るまで、少なくとも私にとって22〜23年間の待ち望む年月と悔しい思いがあります」と語った。
今回、観戦ができるようになった背景には、1人の女性の悲しい犠牲がある。
9月に、サッカーを観戦するために男性に変装してスタジアムに入った29歳のサハル・ホダヤリさんが、6カ月の禁固刑になると聞かされた後に焼身自死したのだ。
これをきっかけに、FIFA(国際サッカー連盟)が女性にもスタジアムへの入場を認めるよう、強くイランに求めていた。
40年振りに実現した女性の観戦だが、まだ課題はある。
今回女性に割り当てられたのは、8万席のうち4000席。全体のわずか5%だ。女性たちの席は、男性がいる席から遠く離れた場所に設けられ、女性の警察官が警備した。NHKによると、国内試合の観戦ができるかどうかはまだわからないという。
それでも女性たちは、声を上げ旗を振り、試合を観戦できる喜びを味わった。
ちなみに試合は14-0で、イランがカンボジアに勝利。女性ファンにとってさらに嬉しい1日となった。