世界10億人以上のアクティブアカウントを誇るSNS「Instagram(インスタグラム)」。特に若い世代から人気を集めるが、子どもたちがトラブルに巻き込まれないか不安を抱えたことはないだろうか。インスタは16歳未満(一部の国と地域では18歳未満)の新規アカウントを2021年7月28日よりデフォルトで非公開設定に。さらに、ブラッシュアップした「保護者のためのInstagramガイド」も公開。インスタが取り組む「年齢に合ったSNS体験」とは? 公共政策部門の責任者、カリナ・ニュートン氏がその取り組みと想いについてハフポスト日本版に文を寄せた。
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新型コロナウイルス感染症でソーシャルディスタンスが求められる中、SNSは人と人とをつなぎとめる大きな役割を果たしてきました。コロナ禍の18カ月間、特に若い世代はSNSを使って友達とつながっていました。さらなるコロナの感染拡大を受けて、今後もたくさんの利用者がSNSでのつながりを求めるでしょう。
こうした状況下で若い人たちが友達や家族とつながり続け、さまざまなことへの興味や関心を失わないためにInstagramが果たしている役割を、しっかりと感じています。同時に、Instagram上で若い人たちの安全を確保する必要性も理解しています。利用者が楽しみながらInstagramを快適に利用できるのは私たちの願いであり、そのためにもプライバシーや安全性に関する問題にも、決して妥協したくないのです。
Instagram体験を「より管理できるように進化」
最近では、年齢にフィットしたInstagram体験の取り組みをさらに強化。例えば「センシティブコンテンツコントロール」をはじめ、コンテンツ表示やメッセージなどを自分に合うようにカスタマイズできる機能やツールを複数発表しています。新たにリリースした「センシティブコンテンツコントロール」では利用者の志向に合った、フォローしていないアカウントのコンテンツを勧めてくれる「発見タブ」の表示が選択できるようになりました。
この機能では、「発見タブ」上で次の3通りの選択が可能です。①センシティブなコンテンツを表示させない「制限」②表示をOKする「許可」③一部のセンシティブなコンテンツのみを減らす「さらに制限」。ただし、18歳未満の利用者には③がありません。
次に、投稿についた「いいね!」数を非表示にできるテストを、日本を皮切りに2019年以降世界で実施。すると、テストを通じて「いいね!」数の非表示にメリットを感じている利用者がいることがわかりました。一方で、「いいね!」数にはあまり興味がないと感じる利用者も。それよりもInstagramで「何が人気で、何がトレンドになっているのか」に興味を持っていることが判明。そこで2021年5月に「いいね!」数の表示・非表示を選べる機能を、InstagramとFacebookで全世界に導入しました。
16歳未満の新規アカウントを、デフォルトで非公開へ
若い人たちのプライバシーは、Instagramにとって非常に大切な要素です。2021年7月より、Instagramは16歳未満の新規アカウントをデフォルトで非公開に設定。非公開アカウントは、望んでいない他のアカウントとやり取りがなくなり、安全性が向上するなど若い利用者にとって多くのメリットが。公開設定している若い利用者には、「非公開アカウントのメリット」や「非公開アカウントに切り替える方法」を通知しています。
大人との望まないやり取りを、未然に防ぐ取り組みもしています。2021年前半には18歳未満の非フォロワーへ、大人がメッセージを送れないようにする新機能を導入。さらに、ネガティブな大人が「発見タブ」やコメントを通じて若い利用者をフォローし、やり取りすることを防ぐシステムを2021年7月よりローンチ。この変更は日本やアメリカ、オーストラリアやフランス、イギリスでスタート。今後、さらに多くの国に広げる予定です。
若い利用者に表示する広告の制限も強化。2021年7月28日からは18歳未満の利用者に対しては、年齢・性別・場所だけ、つまり個人的な情報に基づかない広告が表示される予定です。そのため広告主は利用者の興味や関心、他のアプリでの閲覧情報など、以前は見られたものが利用できなくなります。この変更はInstagram、Facebook、Messengerを利用する全世界の若い利用者に適用されます。
子どもとの会話のきっかけに。「保護者のためのInstagramガイド」
若い利用者のSNSでの安全面は、保護者が重要な役割を果たしています。さらに今回のコロナ禍では保護者が中心となり、メンタルヘルスや孤独感などの問題に対処してきたとInstagramは思っています。そこで会話のきっかけとなるように、安心・安全にInstagramを利用するために知っておくべき機能をわかりやすく紹介する「保護者のためのInstagramガイド」を一新しました。ガイドのブラッシュアップには専門家との相談、カタリバ、キッズドア、ストップいじめ!ナビ、3keys 、育て上げネット、TDU・雫穿大学などのパートナーの協力が不可欠でした。
若い利用者の安全のためにInstagramができることは、まだまだあります。今後も利用者の声に耳を傾けて保護者や専門家、若い人たちと協力しながら、年齢にぴったりフィットする楽しく安全なInstagram体験をお届けしたいと考えています。
Instagram 公共政策部門責任者カリナ・ニュートン (Karina Newton)
Instagramの公共政策部門責任者として様々な部署と連携し、利用者のセキュリティ、プライバシーを維持する製品の開発に携わる。Instagramが利用者にとって安全で、自由に自分を表現できる場であり続けるために、コミュニティガイドラインをはじめとするポリシーの策定を牽引。大の旅行好きで、2人の子を持つ母親でもある。@karinanewton