東北新幹線を疾走する〈やまびこ143号・つばさ143号〉仙台・山形行き。
21世紀に入ってから、車掌が携帯する端末の進化により、新幹線や在来線特急の指定席のみ、車内改札(乗車券の確認)を省略する鉄道事業者が増えている。
その一方、東海道新幹線を管轄するJR東海は、在来線特急も含め現在も続けている。
■20・30代は優等列車(新幹線や在来線特急など)指定席の車内改札に抵抗
優等列車の車内改札について、成人男女1500名を対象にしらべぇ編集部でリサーチしたところ、「わずらわしいとは思わない」が53.6%、「わずらわしいと思う」が46.1%という回答を得た。
年代別だと、20・30代は「わずらわしいと思う」が上回っている。30代前半以下に限ると、社会人になり、出張や旅行で優等列車の指定席を利用する際、車掌の指定席の車内改札省略が"普通"という認識を持っているのだろう。
特筆すべきなのは、年収1000万円以上の人で、「わずらわしいと思う」が(年代に関係なく)60.5%いたことだ。
■快速の指定席や、普通列車の車内改札は66.1%が「わずらわしいと思う」
一方、ほとんどの列車が乗車券のみで利用できる「快速の指定席」や「普通列車」の車内改札は、66.1%が「わずらわしいと思う」と回答した。どの年代や年収でも抵抗を示す。
さて、快速の指定席で車内改札を省略する列車は、ほとんどない。
例えば、夜行快速(臨時快速〈ムーンライトながら〉など)の場合、青春18きっぷの使用開始日を1日遅らせるため、乗車駅から日付が変わって最初に停まる駅までの乗車券を購入する乗客が多いので、車内改札はありがたい。
指定席が設定されていない快速や普通列車の車内改札は、不正乗車防止のほか、車内精算、無人駅から乗車した乗客のきっぷ、自由席特急券(乗換駅から目的地まで。新幹線も含む)をそれぞれ発売する。
また、JR東日本では、Suicaエリア内からSuicaエリア外へ向かう乗客もいるので、車内改札を行なう。駅の精算による混乱を防ぐだけではなく、乗客自身も駅からスムーズに目的地へ移動できる(例えば駅から路線バスの乗り遅れも防ぐ)
近年、ローカル線では、運転士しか乗務しないワンマン列車を中心に、アテンダントによる車内改札も行なわれている。無人駅から乗車してすぐ乗車券を発売してくれるので、列車の遅延防止にも役立っている。
■車内改札は、なぜ行なわれるのか
車内改札のおもな目的は、乗客が適切な旅行をできるよう、発車時刻や乗換列車などを案内することや、目的地まで適切なきっぷを購入しているのかを確認するために行なう。
JR東日本では、新幹線や一部の在来線特急について、車掌が携帯する端末で指定席の発売情報を確認できるため車内改札を省略しているが、御案内などのため、車内の巡回は継続している。
一方、JR東海では、優等列車の車内改札を継続している。東海道新幹線の場合は、乗客の列車乗り間違えや乗車予定の前後列車に変更することが多いため、乗務員がきっぷの確認を行なうのがベストだという。
在来線特急の場合は、新幹線と異なり、特急券を事前購入しなくても乗車できるので、車掌は自由席、指定席とも、乗客のきっぷを確認している。
【協力:東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)】
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2014年11月14日(金)〜11月16日(火)
対象:全国20代〜60代 男性750人 女性750人 計1500人
(しらべぇより転載)