「人を笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られる「イグ・ノーベル賞」に12年連続で日本人が輝いた。9月13日、長野県駒ケ根市の昭和伊南総合病院に勤務する堀内朗医師が、医学教育賞を受賞したことが発表された。
(※堀内さんの受賞発表は、1時間8分25秒あたりから)
朝日新聞デジタルによると、受賞理由は「座位で行う大腸内視鏡検査―自ら試してわかった教訓」。
大腸がん検診などで受ける内視鏡検査は、通常は横に寝た状態で肛門から管状の内視鏡を体内に入れていく。しかし、堀内さんは、座った姿勢で大腸の内視鏡検査を受けると苦痛が少ないことを自ら試した。
イスに腰掛けて少し股を開き、口径の小さな内視鏡を自分の肛門にゆっくり入れてみたところ、「驚くほど容易にできた」という。2006年に、アメリカの学会誌に体験談を発表した。
ただし、座った姿勢で医師が内視鏡を入れる検査は、恥ずかしがって受けたがらない人が多く、堀内さんが勤務する病院でも採用していないという。
13日夜(現地時間)に、アメリカ・ハーバード大学の授賞式に参加した堀内さんは「この賞を受賞できて大変名誉に感じます」とあいさつ。ただし60秒以上スピーチしてしまったために、お約束の「飽きちゃった、もうやめて」とステージ上に女の子が現れて話を遮られてしまった。
■ここ12年間の日本人受賞者は?
日本はほぼ毎年のように受賞者が輩出し、アメリカ、イギリスに次ぐイグ・ノーベル大国になっている。イグ・ノーベル賞を創設したマーク・エイブラハムズさんが「日本とイギリスは、変人であることを誇りにする国です」と語っている。
2007年以降の12年間の日本人のイグ・ノーベル賞受賞者は以下の通り(参考記事)。
<2007年 化学賞>
ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出する研究をした功績
<2008年 認知科学賞>
単細胞生物の真性粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見した功績
<2009年 生物学賞>
パンダのふんから取り出した菌を使って生ごみの大幅な減量に成功した功績
<2010年 交通計画賞>
迷路を最短で通り抜ける力が粘菌にあることを発見し、優れた鉄道網のモデルを作ることを突き止めた功績
<2011年 化学賞>
迷路を最短で通り抜ける力が粘菌にあることを発見し、優れた鉄道網のモデルを作ることを突き止めた功績
<2012年 音響賞>
迷惑なおしゃべりをやんわりと制止する装置「スピーチ・ジャマー」開発。自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせる装置。
<2013年 化学賞/医学賞>
<2014年 物理学賞>
<2015年 医学賞>
キスでアレルギー患者のアレルギー反応が減弱することを示した研究に対して
<2016年 医学賞>
<2017年 知覚賞>