アメリカ民主党のバイデン大統領やハリス副大統領、支持者らは、共和党候補のトランプ氏が11月の大統領選挙で勝利すれば、様々な問題が起きると警告している。
第二次トランプ政権の行方を知る手がかりの一つが、保守系シンクタンクのヘリテージ財団が作った「プロジェクト2025」だ。
プロジェクト2025は、共和党候補が大統領になった場合の政策提案で、教育省の解体や全米での中絶禁止、移民の大量強制送還、連邦職員の解雇など、保守的な政策の実施を求めている。
トランプ氏はプロジェクト2025と距離を置く姿勢を見せているが、この計画の策定には第一次トランプ政権の関係者が多く含まれており、切っても切れない関係にある。
一方、トランプ氏は自分が大統領選挙で敗北すればアメリカが混乱に陥ると主張している。
トランプ氏の主張は、事実や証拠に基づいていないことが多い。それでも同氏が自分が負ければどうなると考えているのか、これまでの本人の主張をまとめた。
生活の質が崩壊する
「ハリス政権になれば、エネルギー価格はヨーロッパをはるかに上回るだろう」
「我が国のインフレは2桁上昇して、生活の質は確実に崩壊する。この愚か者たちのもとで、生活の質は崩壊するだろう」
トランプ氏はこの集会で、「ハリス氏が大統領になったらどうなるかを想像する必要はない。皆さんは今すでに、悲惨な状況を生きている。これがさらに悪化する」とも述べた。
“流血の惨事”が起きる
トランプ氏は3月、オハイオ州での共和党候補の応援演説で、自分が当選すれば中国の自動車会社が生産する車に100%の関税を課すとした。
その上で、もし自分が落選すれば、「この国は流血の惨事になるだろう。それは序の口だ」と述べ、アメリカの自動車産業で大量解雇が起きると予測した。
トランプ氏は2021年1月6日の米連邦議事堂襲撃を扇動した罪を問われている。そのトランプ氏が「流血の惨事」と発言したことには注目が集まった。
トランプ氏は、8月にミシガン州で開かれた選挙集会では「私が当選しなければ、ここにいるすべての自動車産業の労働者が3年以内に職を失うだろう。この州のすべての自動車工場の労働者だ。そしてすべて中国製になるだろう」と述べている。
1929年の世界恐慌のような株価暴落が起きる
トランプ氏は8月にニュージャージー州のゴルフクラブで開いた記者会見で、1929年に起きた世界恐慌を引き合いに出し、「もし(ハリス氏が)大統領になれば、1929年のような(株価の)大暴落が起きるだろう」と主張した。
キリスト教徒は再び選挙に行かねばならなくなる
トランプ氏は7月にフロリダで開催されたイベントで、自分が勝利すれば今後投票に行く回数を減らせるとキリスト教徒の有権者にアピールした。
「クリスチャンの皆さん、投票に行きましょう。今回だけでいいんです。もう投票する必要はない!そうすればあと4年問題はない。大丈夫だ。もう投票する必要はないんです。美しいクリスチャンの仲間たち、私は皆さんを愛しています」
トランプ氏は、「私はクリスチャンだ」とも述べている。
トランプ氏の「投票に行かなくてもいい」という発言は反民主主義的だと指摘され、のちに「キリスト教との有権者の問題が解決されるという意味だった」と釈明した。
誰もが医療を受けられるようになる
トランプ氏はニュージャージー州のゴルフクラブでの記者会見で、ハリス氏が当選すればすべての人が公的保険に加入して医療を受けられるようになると述べた。
「全員が共産主義体制に放り込まれることになる……誰もが医療を受けられるシステムに放り込まれるのだ」
トランプ氏はこの時、ハリス氏は民間の健康保険の廃止を望んでいるとも主張した。
ハリス氏は以前は民主党議員らが提唱する国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」を支持していたが、今回のアメリカ大統領選挙では公約に掲げていない。
ビットコイン投資家は一人残らずいなくなる
トランプは7月に開かれたビットコイン会議で、投資家らに対し「もし我々がこの選挙に勝たなければどうなるか――。皆さんがそれほど政治的でないことは承知している。しかし、あなた方は政治的でなければならない。皆さんのやっていることには政治的な要素が多く含まれているからです」と述べた。
「もし彼らがこの選挙に勝てば、あなた方全員がいなくなるだろう。彼らは凶悪で冷酷になり、信じられないようなことをするだろう」
「皆さんの多くはアメリカン・ドリームを追っていると思う。しかし、私を選ばなければ、皆さんは潰される。こんなことを言いたくはないが、 私を選ばなければ、あなた方は潰される……美しい家から狭い家に引っ越すことになったと言わなければならなくなるだろう」
“黒人の仕事”が移民に奪われる
トランプ氏は7月に開催された全米黒人ジャーナリスト協会の年次大会で、、「この部屋にいるジャーナリストの多くは黒人だ。私は皆さんに、国境からやってくる何百万、何千万という人々が、黒人の仕事を奪うだろうと伝えたい」と述べた。
“黒人の仕事”とは何かと尋ねられたトランプは、「仕事を持っている人のことだ」と回答。「カマラはそれを許している」とも述べた。
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選挙がなくなるかもしれない
トランプ氏は 「流血の惨事が起きる」と予言したオハイオ州の集会で、「もし勝たなければ、この国で選挙が行われることはもうないだろう」という持論も展開した。
トランプ氏は4月にミシガン州で行われた選挙集会でも、「これが私たちにとって最後の選挙になるかもしれない。これは本心だ。我々が勝てなければ、最後の選挙になるかもしれない。それがこの国の行く末だ」と語っている。
アメリカが“終わる”
トランプ氏は1月、ニューハンプシャー州で「私たちが勝たなければ、この国は終わりだと思う。私はそう思う。私たちの国は終わりだと思う」と発言した。
トランプ氏は7月のビットコイン会議でも、「もし我々がこの選挙に勝たなければ、この国は終わってしまうかもしれない。我々はそれをわかっている」と投資家らに述べている。
トランプ氏はベネズエラに行くかもしれない
トランプ氏は8月、イーロン・マスク氏との対談で、証拠を示さずに「ベネズエラは犯罪者がアメリカに移住したため犯罪率が急減した」と主張。
選挙で負ければ、自身がベネズエラに行くかもしれないという考えを示した。
「この選挙で何かが起これば――それは恐怖のショーになるだろうが、私たちは次にベネズエラで会うことになるだろう。ベネズエラは私たちの国よりもはるかに安全な場所だからだ」
「そうなれば、君と私はベネズエラで会談し夕食会をすることになる。それが現実になるのだ」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。