東京電力福島第一原発の処理水の安全性について、国際原子力機関(IAEA)が1月30日、海洋放出後初となる報告書を発表した。「関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった」と評価し、2023年7月に示した包括報告書に関する結論を再確認することができたとしている。
反対する中国、ロシアの専門家も参加
調査団は、アルゼンチン、イギリス、カナダ、韓国、フランス、ベトナム、マーシャル諸島のほか、処理水の海洋放出に反対する中国やロシア出身の独立専門家。
今回の調査は、処理水の海洋放出が「国際安全基準に合致し、人や環境に対する放射線影響は無視できるほどである」と結論づけた包括報告書(23年7月公表)をフォローアップする形で行われ、調査団が2023年10月24〜27日、現地で処理水の放出施設・設備を確認したほか、東電や経済産業省、原子力規制委員会と放出後の状況について意見を交わしたという。
処理水の海洋放出は8月24日に始まり、これまで3度にわたって約2万3000トンが放出された。
報告書は「日本では、処理水の海洋放出に関して安全に監視するための強固な規制インフラが整備されていることを直接確認した」とし、処理水に関する装置や設備が「日本の計画や国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した」などと評価した。
また、現在実施しているモニタリング(環境中の放射性物質の状況確認)が国際社会にとって大事であるとし、東電と日本政府がデータの正確性と信頼性を担保すること、透明性を提供するIAEAが裏付け調査をすることの重要性について言及している。
次回の調査は2024年春に実施する予定。処理水の安全性については、解説記事「処理水とは何?汚染水と言わない理由は?危険じゃないの?福島第一原発【3分でわかる】」で確認することができる。