クリスマスやバレンタイン、誕生日。欧米では記念日にグリーティングカードを送る習慣がある。
そういったカードには動物の画像が多く使われているが、選ぶ時には気をつけた方がよさそうだ。
イギリス獣医師会(BVA)は、パグなど「鼻ぺちゃ」と呼ばれる短頭種の犬や猫たちの画像を使用したグリーティングカードを利用しないよう求めている。
短頭種とは、鼻の長さが極端に短い品種のこと。パグやブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリアといった犬。そしてヒマラヤンなどの猫が含まれる。
BVAは2月9日に掲載した声明で、大手カードブランドが発売しているバレンタインカードには、外見が“可愛い”という理由で、パグなどの画像が使われているものの、動物の健康と福祉を守るために、そういったカードを選ばないで欲しいと訴えた。
なぜ鼻ぺちゃ品種の画像を使って欲しくないのか
BVAがカードの使用を避けるよう求める背景には、品種改良して作られた短頭種の動物たちが、病気にかかりやすいという理由がある。
中でも呼吸器系の疾患を発症しやすく、短頭種によく見られる呼吸器疾患は総称で「短頭種気道症候群」と呼ばれる。
BVAは声明で「近年メディアや有名人、商品や広告などによって、健康よりも見た目を重視して品種改良された、極端な特徴を持つ動物たちがブームになっている」と指摘。
「これらの品種は、深刻な病気や、時には致死的にもなる健康上の問題を抱えることがあります。例えば、鼻口部の短い犬や猫たちは、息をしづらく、目の潰瘍や皮膚感染症、脊髄の異常などの問題に苦しむことがある」と述べている。
BVAは2018年に、#HugsNotPugs(パグではなくハグを)キャンペーンを立ち上げて、グリーティングカード会社に、深刻な健康上の問題を抱える可能性がある短頭種を、カードや商品に使わないよう求めてきた。
獣医師たちは、「画像は楽しむためのものであるとは思うが」としつつ、短頭種目にする機会が増えることで、病気に苦しむ動物の需要が増えることを懸念している。
BVAのジャスティン・ショットン会長は、グリーティングカード協会やカードブランドに宛てた手紙で、パグなどの画像を使わないように求めた。
「これらの動物は、商品に”可愛らしさ”を加えます。しかし、彼らの見た目は、多くの健康や福祉の問題を隠しています。バレンタインデーは愛を示す日です。品種改良によって苦しむ動物を描いた贈り物やカードをあげることは、愛する人への正しいメッセージとは言えません」