奮発して手に入れた一眼レフカメラ。しかし、いざレジャーや旅行に持っていっても「フルオート」モードに頼ってばかり...そんなお悩みはないだろうか。
フルオートは確かに便利。ピンボケしたり、色味がおかしくなったりといった「事故」なく撮影することができる。とはいえ、自分が思い描いた写真が必ず撮れるかというと、話は別だ。
ハフポスト日本版の動画チャンネル「はふちゅーぶ」では大阪、北海道、そしてロシアなどで取材経験を持つベテラン・関根和弘記者にカメラ撮影の基礎を教えてもらった。
■3つのポイントで脱「オートマン」
関根記者が「一番陥りがち」と指摘するのは、撮った写真が暗くなってしまうこと。特にオートモードだと、実際の明るさよりも暗くなってしまいがちだという。
では、フルオートに頼ってばかりの「オートマン(造語)」は、写真を綺麗に明るく撮るためにはどうすれば良いのか。ポイントは3つある。
①ISO感度(アイエスオー)
カメラが光をキャッチする能力を示し、数字が大きくなればなるほど明るくなる。暗い環境でも、フラッシュに頼らなくてもISOを上げれば鮮やかな写真が撮れる。
しかし「じゃあいつも大きくすればいいじゃん!」とはならない。ISOを上げることは、つまり電子信号を増幅させること。数値を上げすぎるとノイズも強まり、画質に影響が出てしまうのだ。
関根記者によると、一般的な一眼レフであればだいたい1600くらいまでは画質の低下が気にならないということだ。
②シャッタースピード
シャッターが開いている時間を指す。カメラに表示された時間が「500」ならば1/500秒という意味だ。
シャッタースピードが遅いほど、つまり数字が小さいほど、光を取り込む時間も長くなる。動いている被写体を撮るとブレてしまう。
そのため野球などのスポーツ取材では、シャッタースピードを1000〜5000などに引き上げて撮影するという。
しかし、非常に厄介なことに、シャッタースピードを上げると今度は画面が暗くなる。「暗い中で早い動きのものを取ろうとすると大変だ」と関根記者も嘆く。
比較的動きがない被写体であっても大まかな目安は「125」程度にすると良い。それを下回る(遅くなる)と手ブレの恐れがあるので注意だ。
③f値
光を取り込む量を「絞り」と呼ばれる窓の開き具合で調節する。それを示す数字がf値だ。
ISOなどと違い、f値は「小さい=明るい 大きい=暗い」となっている。
f値が低いレンズを使うと、それだけでISOを上げたり、シャッタースピードを遅くしなくてもたくさん光を取り込めて、明るい写真が撮れる。つまり、画質が荒れたり、ブレたりするリスクが少ないということだ。
ここで関根記者は「優秀な目安とされているのはf値2.8。“にてんはち”と言ってはだめ。“ニッパチ”と呼ばないと」とベテラン風を吹かす。
この3つのポイントを、状況に合わせて調整するのが大事だ。もちろん、数字を変更するにはカメラをマニュアルモードにする必要がある。「オートマン」のままでは出来ないのだ。
最後に関根記者が、経験から得たテクニックを教えてくれた。
ファインダーを覗き込んだとき、明るさを示すメモリが表示される機種がある。
これがちょうど真ん中にきたらシャッターを押せばいいと思いがちだが、関根記者のやり方は違う。「これでいいと思って撮ってみると、いざ写真を見たら暗くなっている。人の見た感じと機械の判定は違う。目盛りが明るい方に2つほどオーバーした状態で撮るとちょうどいい」とのことだ。
もちろん、始めたばかりではISOやシャッタースピードの調整は難しい。大事な場面で写真を撮る前に、まずは練習として撮影に出かけ、数字をいじりながら試してみるのはいかがだろうか。
※カメラがどうやって写真を撮るのか?を関根記者が2分で解説する動画はこちら。