評論家の宇野常寛さんが、自身が責任編集をつとめる雑誌「PLANETS」の最新号で、メディアの未来に"挑戦状"を突きつけた。
「遅いインターネット」宣言だ。
圧倒的なスピードで世界と繋がれることが強みのインターネットは、情報の流通量とスピードを莫大に高め、生活を便利にした。個人の中にある表現欲求や、「つながりたい」「わかってほしい」という承認欲求をゼロコストで満たしてくれるインフラになった。
もしもインターネットがなければ、「#MeToo」はここまで世界的なムーブメントにならなかっただろう。今年大ヒットした映画「カメラを止めるな!」は、マスコミに見いだされなかったかもしれない。かくいう宇野さん自身も、もともと京都で会社員として働いていたが、ネットの力で世の中に出てきた評論家の一人だ。
それを「遅くする」とはどういうことなのか。
宣言文の中で宇野さんは、現在のネットに抱く危機感を以下のようにつづる。
《現在のインターネットは人間を「考えさせない」ための道具になっています。フェイクニュース、陰謀論、そして無数の「炎上」。
かつてもっとも自由な発信の場として期待されていたインターネットは、いまとなっては、もっとも不自由な場となり、僕たちを抑圧しています。》
宇野さんは「遅いインターネット計画」を提唱し、「『炎上』『バズり』を無視して、本当に価値のあることだけをゆっくり考える場」を作りたいと宣言する。
今、ネットをすこし、スローダウンさせよう。
そんな宇野さんの呼びかけは、日々インターネットで記事を配信し、SNSで読者と「会話」をしている私たちにとっても、ざわっとする響きがある。
11月15日(木)夜10時からのネット番組「ハフトーク」では、竹下隆一郎編集長が宇野さんをゲストに迎えて、「遅いインターネット入門」をお送りする。60分間生放送で、徹底的に話し合うつもりだ。
脊髄反射的に情報や感情が飛び交っている「速すぎるインターネット」の渦の中で、わけもわからず生きにくくなっている私たちは、どのように「遅いインターネット」を"インストール"すればいいのだろうか。
■「ハフトーク」番組概要
・11月15日(木)夜10時〜
・dTVチャンネルにて生放送
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