自分のことを自分で決められなくなるかも...。ハフポスト記者と読者が「米大統領選挙と中絶の権利」について語り合った

米大統領選挙で争点となっている「中絶の権利」。アメリカで約半世紀にわたって保護されてきた権利がトランプ氏の施策によって2022年に失われたことについて、第3回「ハフポストミーティング」で語り合いました。

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2024年は、ハフポスト日本版に日頃から親しんでくださる読者・ユーザーの皆さんとつながり、日頃感じていること、様々なご意見や今後の発信への要望をお聞きしたい。そんな思いから、ハフポスト日本版では「ハフポストファンコミュニティ」のメンバーの募集を開始しました

登録していただいた方の中から、希望される方には、今注目すべき最新の社会課題・トレンドを知る「ハフポスト・ミーティング」や、「メンバー限定取材会」、スポンサード企業提供の「商品モニター・体験会」など、各種のクローズドな会にご参加いただく機会の提供を予定しています。

ハフポMTG#03
ハフポMTG#03
ハフポスト日本版

10月23日(水)に開催された第3回「ハフポスト・ミーティング」では、「米大統領選と『女性の権利の行方』」をテーマに、ハフポスト日本版の安田聡子記者と細見るい記者が取材報告をし、後半では参加者と本テーマや関連する社会問題について語り合いました。

なぜ米大統領選で中絶が争点になっているの?

取材報告の様子
取材報告の様子
ハフポスト日本版

取材報告で細見記者は、米大統領選挙で大きな争点となっている中絶の権利について語りました。

1973年に、当時多くの州で違法とされていた人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた「ロー対ウェイド判決」が言い渡されたことで、アメリカでは約半世紀にわたって中絶の権利が保護されてきました。しかし、トランプ氏が大統領在任中に3人の保守派判事を連邦最高裁の判事に指名した後、「ロー対ウェイド判決」は2022年に覆され、国レベルで中絶の権利は失われました。

この判決の影響により中絶手術が受けられなかった女性の死亡も報告されており、大統領選挙では民主党候補のハリス氏と共和党候補トランプ氏が、中絶の権利を巡り真っ向から対立しています。

細見記者は「妊娠によって母体が危険に晒される人や、性暴力によって望まない妊娠をしている人もいますが、住んでいる地域によっては州を跨がなくては中絶ができない現状です」と説明。さらに「最低賃金が低かったり、労働組合の組織力が少なかったり、失業時のセーフティーネットが薄かったりといった地域を中心に中絶の権利保護が失われている傾向にあります。また、(中絶の規制が)有色人種が多い州に偏っていることも問題です」として、社会的に弱い立場にいる人に特に影響が出ている課題も指摘しました。

安田記者は、中絶の禁止がアメリカ大統領選挙に与えている影響に触れつつ、日本の現状を比較。「日本の選挙では中絶が争点になっていないものの、経口中絶薬は高価で入手しづらく、中絶には配偶者の同意も必要です。日本ではアメリカとは違う形で中絶しにくい状況があり、もっと報じていかなくてはならないと感じています」と語りました。

細見記者
細見記者
ハフポスト日本版

また「自分の体について自分で決められないのは怖いこと」「海外の現状を知ることで見えてくる日本の問題もあるのではないか」という発言に対し、参加者から「日本では無痛分娩が少ないと言うと、(海外では)驚かれることもあります」などの反応もありました。

人権と幸福を考えた先に、性教育がある

イベントの後半のフリートークでは、アメリカ大統領選挙から見た日本のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の問題について語り合いました。 

フリートークの様子
フリートークの様子
ハフポスト日本版

テレビ業界で働いていたという参加者は、中絶の権利についてテレビで報じることが少ない理由に関して「『中絶=ふしだら』という偏見は根深いように思います。制作側で頑張っている場合もあるのですが、『朝のニュースに相応しくない』という声が寄せられてしまうんです。テレビは特定の意見に寄ってはいけないという考え方も一般的なので、色々な意見がある社会問題は『扱いづらいから』という理由で敬遠される傾向にあるように思います」と話しました。

別の参加者からも「テレビドラマで原作にあったはずの避妊に関するシーンがカットされそうになるなど、ニュースに限らず、避妊や中絶の話が日本のテレビ全般で“腫れ物”扱いされがちだと感じます」という意見が寄せられました。

避妊に関する情報へのアクセスが難しいと感じている参加者は「卵子凍結など、子どもを持ちたい人のための発信は進んできているのに産めない、産みたくない人が必要としている情報へのアクセスが難しく、社会や性教育の偏りに違和感を抱いています」という考えを語りました。

SRHRをめぐる状況を改善していく上で欠かせないのが性教育です。北欧で生活していたという参加者からは「性教育は本来『人を大切にすること』を目的とした教育です。例えば北欧の保育園では、絵本を使って妊娠の仕組みを細かく説明することも一般的です。人権や幸福を考えれば、自然と性教育の在り方が変わり、中絶についての捉え方も変わってくるのではないでしょうか」という意見も挙がりました。

回を重ねるごとに熱量が増すハフポスト・ミーティングは、今回も「もうこんな時間!」という驚きの声と共に終了。

イベントの中で「ハフポストは社会問題から自分ごとだと感じられるような親和性の高い話題まで、さまざまなトピックを読みやすい形に落とし込んでくれるところが好き」というご意見もいただきました。イベントはそういったご意見を体現するような、リラックスした雰囲気の中で様々な意見が飛び交う時間となりました。

イベント後もライフスタイルや社会課題についての立ち話に花を咲かせ、次回のハフポスト・ミーティングにバトンを渡しました。

第4回は2025年1月29日(水)に開催されます。2024年7月に開始したシリーズ報道『被害者と遺族の「本当」』をもとに、「被害者・遺族の人権と報道」について、ハフポスト日本版の佐藤雄記者が語ります。

甚大な事件や事故が起こるたびに、遺族取材や実名報道などが議論されてきました。記者が前職から5年間取材している「京都アニメーション放火殺人事件」のご遺族も、報道機関から勝手に住所を載せられるなど、数多くの二次被害に遭ってきました。そもそもなぜ、実名報道や遺族取材を拒む遺族が多いのか。そしてメディアや社会には、どんなことが求められているのか。取材をもとにお話しします。

他にも、参加者の皆さんと、「ハフポスト日本版のコンテンツに求めること」などをテーマに意見交換したいと考えています。

【「ハフポストファンコミュニティ」のメンバー登録をされる方はこちら⬇︎】
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ハフポストファンコミュニティのメンバー登録をしていただいた方に、第4回以降の「ハフポスト・ファンミーティング」の参加募集の案内を後日お送りいたします。

皆さまからの「ハフポストファンコミュニティ」のメンバー登録をお待ちしています!

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