社会の偏見を破り、記者の権威を解体させ、「本物」のニュースを読者に伝えたい

ハフィントンポスト・コリアの編集人になってほしいという提案を受けた。悩む時間が必要だから1週間後にまた相談しようと答えた。しかし私はその明け方、その提案を受けるメールを書いてしまった。なぜだろう。

ハフィントンポスト・コリアの編集人になってほしいという提案を受けた。悩む時間が必要だから1週間後にまた相談しようと答えた。しかし私はその明け方、その提案を受けるメールを書いてしまった。なぜだろう。

15歳の夏ごろだったろうか。両親とアメリカ・カリフォルニア州で暮らす機会があった。生まれて初めて外国に行ったので、すべてが不思議で、新しい友達ができるという喜びに胸がわくわくした。初日に世界史の先生が私を紹介し「地球儀で韓国の位置を探しましょう」と言った。ところが大部分の生徒は、どの大陸にある国なのかも知らなかったのではないか。韓国人というのが誇らしかった思春期の少女が、祖国がどれほど存在感のない弱小国家であるのか悟った苦い経験だった。その後で私は「いつか韓国人として、堂々と国際的な舞台で世界の人々とコミュニケーションする」と決意を重ねてきた。ついにその機会がやってきたのだ!

わずか半世紀前にも、朝鮮半島では同じ民族同士が互いに銃を構えた悲劇の戦争が3年間続いた。それからわずか60年、韓国は特有の誠実さと根性で「漢江の奇跡」と呼ばれる驚くべき経済成長を成し遂げた。どの大陸にあるのかも知られていなかったちっちゃな国、韓国が、いつの間にか流行とトレンドを象徴する国になったのだ。昨年のPSY(サイ)ブームは、その人気を頂点に導いた。マドンナ、オバマ大統領、ノーム・チョムスキー教授まで「江南(ガンナム)スタイル」と叫び、「江南」を知りたい外国人観光客たちがソウルに集まっている。人類の歴史上これほど早く、目覚ましい成長を遂げた国があっただろうか。

一方、韓国社会には、目に見える成功の裏に隠れた大きな課題も山積している。行きすぎた教育熱、成功への執着、魂の幸せを感じられない日常。ハフィントンポストの創業者であるアリアナ・ハフィントン会長がいつも強調する「第3の価値観」(サードメトリック)の通り、成功とお金を超える幸せこそ、まさに今の韓国人に必要なことだ。

今こそ、我々の日常を緊張と過熱した競争に追い込むニュースのかわりに、人生で見つける大切でささやかな幸せを伝えるニュースが必要な時だ。無分別に降り注ぐ根拠のない情報のかわりに「善良な意志」と「分かち合い」「個人の幸せが社会に与える力」を信じる立派なエディターが選び、効果的な方法で伝える「私たちみんなの声」。まさにハフィントンポスト・コリアが志向する姿だ。こうした目標と可能性のおかげで、睡眠不足に苦しんで立ち上げ準備をしながらも、私たちエディターは希望に満ちた未来への期待に胸を膨らませ、胸がいっぱいになるという。

ハフィントンポスト・コリアは、何よりも既存のニュースのトーンを変えて、軽快かつ巧みに問題を認識して改善していく案を提示するだろう。社会の偏見を破り、記者の権威を解体させ、我々皆が主人であり主人公となる、人生の「本物の」ニュースを読者に伝えたい。マクロ的で傲慢な、遠くにばかり感じられるマスコミではなく、友達と夕飯を食べながら率直に打ち明ける話にも出会える。誰かを代表するのではなく「私だけの自由で独立した話」を伝えるメディア、世の中への無限の好奇心と愛情をもとに、原則に忠実で、透明で正直なニュースを読んで討論する空間になるだろう。新鮮でありながらほかとは違う、誰も考えられなかった面白いニュースで私たちの魂に休息と平安を与える「個人主義者の友」になるだろう。同時に国際化、多様化が不足していた韓国社会に、グローバルメディアであり世界のネットワークを誇るハフィントンポストを通じて、より多様で国際的な視点を提示するだろう。一方、国際人たちはこれまで知らなかった韓国の立派な伝統と思想、哲学などに、より簡単に接することができる。

今、韓国のネット上ではハフィントンポスト・コリアの発足をめぐって熱い対話が交わされている。新たな挑戦と変化はいつも不安や憂慮を伴う。様々な視線と声が、すでにハフィントンポスト・コリアに集中しているという事実はむしろ幸いであり、嬉しいことだ。より楽しくて幸せなニュースを伝えたり、入手したりしたい人はいつでも訪ねて来てほしい。韓国人はもちろん、国籍、人種、性別、年齢、職業、宗教、理念に関係なく、誰でも大歓迎だ。ハフィントンポスト・コリアの歴史を共に書いていく皆さんすべてに、感謝の言葉を伝えたい。ウェルカム・トゥ・ハフィントンポスト・コリア!

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