家で過ごす時間が長くなり、レトルトカレーの需要も高まっています。ただ、レトルトというと「しかたなく食べるもの」というイメージが強いのではないでしょうか。
そこで今回は、選び方と少しの工夫によりレトルトカレーを「ちょっと贅沢な食事」として楽しむ方法を、カレーライターが紹介します。
レトルトカレーをごちそう化する3つの方法
カレーの選び方と同じくらい重要なのが、どう食べるかです。まずはレトルトカレーをごちそう化するための、手軽な3つの方法をご紹介。
①複数カレーで「カレーパーティー」に
カレーの種類が単品ではなく複数になることで、贅沢感が一気に増します。なのでぜひ1人なら2種類以上を味わい、2人なら3種類以上を、3人なら4~5種類以上を別皿に盛りシェアしてみてください。
筆者もよく家族とレトルトカレーパーティーをしますが、テンションがグンと上がり、食べ比べての感想を伝え合うのもとても楽しいです。1人の場合、1皿に複数カレーを盛り付ける「あいがけ」もお店みたいでアガります。
②副菜をプラスする
カレーだけでなくそこに副菜が少し添えてあると、“きちんとした食事”っぽくなります。できあいのものでも、あるとないでは大違い。以下、おすすめの副菜です。
・玉ねぎアチャール
・パクチー
・青唐辛子
・ナス、キャベツなどの炒め野菜
・白菜の漬物
・塩昆布
・煮玉子
・納豆
特におすすめなのが、ごく簡単に作れて本格的な味わいの玉ねぎアチャール。玉ねぎスライスに、塩・レモン汁・チリパウダーを混ぜ合わせて少し寝かせるだけで完成します。
③お皿を格上げする
カレーやライスを入れるお皿も、食事の印象を左右する一大要因。家で過ごす時間が長い今こそ、ちょっといいお皿を揃えてみてはどうでしょう。おすすめは、洗練さと温かみのバランスが絶妙な北欧ブランドと、ディープな趣のインド食器です。
・アラビアのお皿
記事冒頭の写真もアラビア製のお皿です。
・イッタラのお皿
あいがけにする場合、お皿の直径は25cmくらいは欲しいところです。
・インド食器
インド現地から輸入している「アジアハンター」が非常に充実しています。
もちろん、カレーの銘柄選びも重要。ここからはいよいよ、名品レトルトカレー5選を紹介します。日本的なカレーも美味しいですが、今回は“ごちそう”がテーマなので、より非日常的なエスニック系のカレーを中心に挙げました。
全てがハイレベルな“噂の名店”シリーズの大傑作
迷ったらコレを買っておけ!というのが、S&B(エスビー食品)の「噂の名店」シリーズです。人気店の味わいを再現したシリーズですが、味わいは超本格派で、値段も手頃、かつスーパーなどで手に入りやすいということで、本当に重宝する存在です。開発チームが相当に優秀なのでしょう。
中でも最近の大傑作が、1957年創業の老舗インド料理店・アジャンタの味を再現したこちら。カルダモンやココナッツなど、華やかで異国的な風味が強烈に香り、本当にお店でカレーを食べているようです。
チキンカレーとダルカレーの2カレーが付き、あいがけできるのも豪華。記事冒頭の写真もこの商品です。
スパイスカレーの鮮烈な刺激をそのまま味わえる
こちらも噂の名店シリーズ。大阪の人気店・コロンビアエイトの名物カレーを再現しています。
初めて食べた時、スパイスがあまりに鮮烈に香り、「レトルトカレーもここまできたのか!!」と衝撃を受けました。実は香りスパイスがカレーとは別の袋に入り、食べる直前にふりかけるスタイルだからこその鮮やかなスパイス感なんです。
スパイスカレーの面白さと華やかさを家でそのまま堪能できる、レトルトカレーの革命的1品。噂の名店シリーズでは他にも、「エリックサウス」「マンダラ」「白銀亭」といった人気店の味が再現されており、どれも本当に美味しいです。
刺激的な酸味と辛味が、日常を忘れさせる
ネゴンボ33は西所沢の人気店で、ポークビンダルーは旧ポルトガル領のインド西部・ゴア州の名物料理。
酸味と辛味の刺激が立ちまくっていて、よくぞここまでエッジの効いたものをレトルトで作れるものだと感心してしまいます。そこに、豚の甘みや、ホールの黒胡椒の芳醇な香りも混じり合う。カレーの鮮やかな色味や、豚角煮の大きなポーションも相まって、まさに「ハレ」のカレーといった趣です。
販売元の「36チャンバーズ・オブ・スパイス」は、知る人ぞ知るインディーズメーカーで、大手ではなかなか成し得ないアバンギャルドな本格レトルトカレーを次々展開しています。
抗えないカニ&ナンプラーの旨味
カニとカレー粉と卵を炒めるプーパッポンカレーは、タイカレーの中でも特に華やか。カニとナンプラーの旨味がカレーにしみまくっていて、人の本能に直接働きかけるような美味しさです。ハーブの爽やかな香りも、タイ料理ならでは。色鮮やかな具材や、まったりリッチなグレービーも、ごちそう感があります。
タイカレーではこのヤマモリのシリーズが秀逸で、他にもタイの自社工場で日本と同様の品質管理のもと生産した本格タイカレーのレトルトがいろいろあります。
凄いカレーを食べた…という感慨が止まらない
東京でも屈指の行列店である吉田カレーのカレーを、自社でレトルト化。サラサラのカレーとキーマの2カレーが付き、これ一つであいがけが完成します。価格も含め、ごちそう感の高い逸品。
何より凄いのは、その味わいです。新鮮な野菜と果物による突出した甘み・フルーティーさは、カレーの概念を超越しています。少し遅れて出汁の旨味と、シャープな辛味もやってくる。キーマがさらに旨味十分で、2つのカレーを混ぜ合わせると絶妙。そして食後は、胃が不思議なほど軽く、心地よい。この超オリジナルなバランスに、いったいどうたどり着いたのか…。
斬新な味わいに戸惑う人もいるでしょうが、確実に「凄いものを食べた…」と感じてもらえる、無二のカレーです。
まとめ
カレー文化の深まりと調理技術の進歩により、ここ数年でレトルトカレーは大きく多様化し、美味しくなったように感じます。今こそ、それを存分に味わわない手はありません。レトルトカレーをごちそう化、ぜひお試しください。
(執筆:田嶋章博)