小島よしおさん「そんなの関係ねぇ」は自分を励ます言葉だった?教育の未来と「高校生のキャリアアップ」について聞いた【HR学院】

通信制高校サポート校HR高等学院のメディア向け発表会に、小島よしおさんや、ギャルマインドを軸にした起業家のバブリーさんなど多様な講師が登壇。一般的な通信制高校との違いや開校に込めた思いを聞いた。

学校の在り方や学びの形が多様化している近年、通信制高校に通う高校生の割合が大幅に増加している。

「働くことをポジティブに捉え、それによって人生が豊かになる。そう思える生徒を増やしたい」

そう語るのは、今年4月から通信制高校サポート校「HR高等学院」(以下、HR学院)を開校するRePlace代表取締役CEOの山本将裕さんだ。

1月下旬、同社は開校に先立って「HR高等学院メディア向け発表会」をドコモ代々木第二ビルにて開催。イベント後半では「1日限定特別講師」としてお笑い芸人の小島よしおさんが登壇し、4月から実際に同校に通う中高生3人にユニークな講義を行った。

HR学院が4月開校。背景には不登校生徒の増加も

RePlace代表取締役 CEO・山本将裕さん
RePlace代表取締役 CEO・山本将裕さん
HR高等学院

HR学院は、オンライン・オフライン両方を活用した通信制高校サポート校だ。

本校のカリキュラムは、リアルな社会での課題解決や社会人キャリアを実践的に学ぶことで、非認知能力(数値で測ることのできない能力)やキャリアへの探究心の育成を主軸としている。さらに基礎学力を育てる教科学習も組み込むことで、高校卒業資格の取得や大学進学なども視野に入れた幅広いキャリアを目指すことができる教育機関になるという。

開校の背景について、山本さんは通信制高校に通う生徒の割合が大幅に増加していると説明する。文部科学省の調べでは、通信制高校に通う生徒は29万118人まで増加しており、その割合は11年前(2014年)の約1.7倍だという。また、通信制高校の数も公立、私立合わせて303校と11年前の約1.3倍にまで増加しており、通信制高校への注目は年々高まっている。

通信制高校の生徒数が増えている要因の1つが不登校生徒の増加だ。友人・教師との人間関係や学校生活における不満など、学校の環境が合わないことが心身の不調につながり、2022年度の不登校生徒の数は10年前の約2倍、約19万4000人まで増加した。

山本さんは「11人に1人、私立なら5人に1人が通信制を選んでいる時代です。大人には転職という選択肢があるのですから、中高生にも次なるキャリアアップとして転校や転入という選択肢があったほうが良いと考えます」と説明した。

「講師がギャルって、自分でもびっくり」

同校が掲げる理念のひとつが「社会との接続を当たり前にすること」だ。

プロジェクトベースの講義と学習ベースの講義からなる本校のカリキュラムには、月に2回以上のゲスト講師による講義が組み込まれる。ゲスト講師のキャリアや肩書きはさまざまで、スマホゲームの開発者や地方創生に取り組む活動家、20代の市長などが講義を行う予定だ。また、オンデマンドの講義とは別に、トップランナー講師による対面講義も実施される予定だ。

通信制と聞くと、漠然と受動的な学習になりやすい気もするが、同校ではこうしたインタラクティブな授業の数々に加え、月に2回の1オン1面談を実施し、幅広く自由な進路をサポートするというから驚きだ。

バブリーさん:合同会社CGOドットコム 総長 1996年生まれ。高校中退後、ギャルに感銘を受けたことをきっかけに「世の中のバイブスをアゲる」ことを目指し、合同会社CGOドットコムを設立。主力事業である『ギャル式ブレスト®︎』は、ギャルマインドを軸に、企業のコミュニケーション課題の解決、新規アイデア創出の伴走を行う。またギャルマインドを活用し企業の商品開発やPRをサポートする『ギャル式スタジオ』も展開。今後はダイバーシティ・コミュニケーションの実現に向けて、日本が生んだギャル文化を世界に発信していく。「Forbes Japan 世界を救う希望100人」「日経クロストレンド 未来の市場を作る100社」「はたらくWell-being AWARDS 2024」「JCI JAPAN TOYP 2024(青年版国民栄誉賞)」などを受賞。
バブリーさん:合同会社CGOドットコム 総長 1996年生まれ。高校中退後、ギャルに感銘を受けたことをきっかけに「世の中のバイブスをアゲる」ことを目指し、合同会社CGOドットコムを設立。主力事業である『ギャル式ブレスト®︎』は、ギャルマインドを軸に、企業のコミュニケーション課題の解決、新規アイデア創出の伴走を行う。またギャルマインドを活用し企業の商品開発やPRをサポートする『ギャル式スタジオ』も展開。今後はダイバーシティ・コミュニケーションの実現に向けて、日本が生んだギャル文化を世界に発信していく。「Forbes Japan 世界を救う希望100人」「日経クロストレンド 未来の市場を作る100社」「はたらくWell-being AWARDS 2024」「JCI JAPAN TOYP 2024(青年版国民栄誉賞)」などを受賞。
HR高等学院

イベントには、4月から同校のトップランナー講師を務めるCGOドットコム総長のバブリーさんも登壇。「講師がギャルって自分でもびっくりですが、頑張ってバイブスをアゲていくのでよろしくお願いします」と挨拶し、会場を和ませた。

バブリーさんは自身が高校生だった頃を振り返り、「当時は成績優秀な生徒でしたが、先生から提示される進路があまりにも画一的で『なんで事前に決められているの?』と勉強する理由がわからなくなり、不登校になりました。そこから通信制高校に通うようになり、その先で自分に合った価値観や働き方に出会いました」とコメント。

さらに「私が大切にしているギャルマインドは『自分軸、直感性、ポジティブ』と言語化できると思っています。働くにあたって自分軸や主体性は重要なスキルですが、学校ではその基盤に必要な自己肯定感の育み方を教えてもらえる環境がありませんでした。『世の中のバイブスをアゲる』を目標に掲げて活動している今、生徒たちと交流して、そんなギャルマインドと共に『いいんだよ』『やってみなよ』とそっと背中を押したいと思います」とトップランナー講師としての意気込みを語った。

NTTドコモ 総務人事部 採用担当部長・朝生雅人さん(左)とバブリーさん(右)
NTTドコモ 総務人事部 採用担当部長・朝生雅人さん(左)とバブリーさん(右)
HR高等学院

支援企業であるNTTドコモ 総務人事部 採用担当部長・朝生雅人さんは、「DX化も進んでいる時代、現場では非認知能力や個人がどのような経験を積んできたかをより重視する傾向にあります」と、現場の視点から同校の意義について言及。

さらに「同社では通信制高校に通っていたことが採用結果に影響することはありません。現在は約半数が中途採用の企業ですが、学歴は重要視していませんし『いかに勉強以外でチャレンジしてきたか』も大切にしています。同校はチャレンジの1歩を踏み出すきっかけをたくさん提供してくれるのではないかと期待しています」とコメントした。

「そんなの関係ねぇ」は自分を励ます言葉だった?

イベントの後半では、お笑い芸人の小島よしおさんが登壇。4月から実際にHR学院に入学・転入する中高生3人に、ゲスト講師として2種類のユニークな模擬授業を行なった。

HR高等学院に入学・転入予定の生徒と、小島よしおさん
HR高等学院に入学・転入予定の生徒と、小島よしおさん
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最初の講義では、小島さんが自身の「学生時代のキャリア」を振り返り、そこから得た知見やアドバイスを共有した。

早稲田大学在学時にお笑いサークルに入った小島さんは、1年生の終わりに所属していたグループがスカウトされてプロデビュー。はじめは周囲から注目されていたものの、就職活動を意識する年代になるにつれて周囲からの視線は「まだやってるの?」というものに変わっていくのを感じたという。さらにその後、同期の多くが社会人として働いている24歳の頃に参加した同窓会では、自分でもキャリアを問い直したと過去を明かした。

現在はお笑い芸人としての活動に加え、YouTubeで小学校算数の授業や、野菜に関する情報発信活動などでも活躍している小島さん。当時から現在に至るまでのキャリアを振り返り「お笑いの世界へ入るきっかけとなったグループは5年で解散してしまいましたが、解散後も『やっぱりこの世界にいたいな』と思ったんです。その気持ちに従ってよかったなと思います」とコメント。

登壇した生徒に苦しい時期を乗り越えるためのコツを聞かれると「世間の声にはある程度、鈍感になって良いと思います。僕なんて『来年消える芸人』に3年連続1位で選出されたんですから(笑)」と返答し、会場を笑い声で満たした。

さらに「言霊を大事にしています。今思えば『そんなの関係ねぇ』『だいじょぶだいじょぶ〜』『前へ前へ前へ』などのギャグは全て、自分を励ますためのギャグだったようにも思います。それに偉人に関する本などを読んでみると、だいたいみんな挫折しているんですよ。苦しくても、自分みたいな経験をした人は既に過去にいて、それをなんとか乗り越えている。そうやって『過去の誰か』が今の自分を支えてくれることがあると思うので、そういう意味でも学びは大切なんだと思います」とコメントし、アドバイスを交えて有名ギャグの誕生の裏側を明かした。

小島よしおさん
小島よしおさん
HR高等学院

続いての授業では、生徒たちと共に一発芸作りに挑戦。小島さんは「今日いらっしゃっているのは記者の皆さんだから話を聞きながらパソコンに文字を打ち込まなくてはいけないし、記者席とステージの距離も遠いし、野球で例えると土砂降りで中止されてもおかしくない試合だ!その中でギャグやろうってだけでもみんなすごいな!」と生徒たちを鼓舞し、持ち前のお笑いテクニックと共にそっと背中を押した。

恥ずかしげな表情を浮かべながらも、生徒が思い思いの一発ギャグを披露すると会場からは笑い声や拍手が送られた。発表を終えて「緊張で頭が真っ白でしたが、見てもらえて嬉しかったです」と晴れやかな感想を浮かべた生徒もおり、HR学院が目指す学びの形の片鱗が早速見えた気がした。

小島さんは「このプレッシャーの中で、一発ギャグを披露して、その中に個性も感じさせるなんて驚きです。みんな最高だった!」と賛辞を送り、最後は衣装の下に履いていたトレードマークのブリーフ一丁姿で自身のギャグをサプライズ披露。ステージと記者席、スタッフ席の境界線を笑いで包み、イベントを締めくくった。

左から山本さん、バブリーさん、朝生さん、小島よしおさん
左から山本さん、バブリーさん、朝生さん、小島よしおさん
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