「多くの人は『ジブリの新作が明日から公開』という事すら知らない」
Twitterで7月13日、一般ユーザーのこんな趣旨のツイートが1万8000件以上もリツイートされるなど大きな注目を集めました。
翌14日は宮崎駿監督の10年ぶりの長編劇場映画『君たちはどう生きるか』が公開日ですが、予告編やテレビCMなど、普通の映画だったら当たり前の事前プロモーションをしていません。
唯一公開されたのは、鳥のような絵が描かれた1枚のポスターだけ。コアなジブリファンは、どんな内容になっているのか推測合戦を繰り広げている一方、事前プロモーションがない結果、映画の上映日すら知れ渡っていないということを指摘したというわけです。
このツイートに対して、さまざまな反響が寄せられています。
「あらすじすら教えないというのは凄くそそられる」
「変にネタバレされたくないので情報ないのは嬉しいです」
「確かにやるのは知ってたけど、まだ先だと思ってた」
■「まっさらな状態で映画を観て欲しい」とスタジオジブリ
今回、異色の宣伝戦略を取ったのはどういう理由があったのでしょう。
スタジオジブリ公式サイトの「野中くん発ジブリだより」7月号には、「まっさらな状態で映画を観て欲しいという思いから、今回、宣伝をほぼせず、情報もほとんど出さないできました。皆様、『君たちはどう生きるか』を、ぜひ劇場でご覧下さい」というコメントが掲載されています。
スタジオジブリの鈴木敏夫社長もNHKニュースに7月6日に掲載されたインタビュー記事の中で、以下のように話していました。
「映画を作ったら、ちゃんと宣伝して、ちゃんと興行もやるべき。それは当たり前なんですが、ものには限度がある。やりすぎは絶対よくないと思っています。だって内容を知った上で、それを確認するために映画を見られたんじゃたまらないですよね。やっぱり面白いかどうかですよ。厳しい目で見ていただきたい」
見る人に先入観を与えずに作品を楽しんでもらいたいという制作側の意思が「宣伝しない」という奇抜な宣伝戦略になったようです。