実業家のホリエモンこと堀江貴文氏が、政府が打ち出した生活保護世帯の子どもの大学などの進学支援に対して「税金の無駄遣い」とツイートし、物議を醸している。
堀江氏は12月10日のTwitterで「補助金だすとかマジおかしい」「税金で高等教育をあまり役に立たない人に施すのは間違ってると思う」と投稿している。
また、こうした発言に寄せられた疑問の声が答える形で、12日にも再び「すでに優秀なやつは返さないでいい奨学金もらってるだろって事だよ」と反論している。
堀江氏の一連のツイートによると、大学は、一部の人のための教育機関であるべきとみなした上で
・成績優秀者には給付型の奨学金制度があること
・魅力が薄い、あるいは努力不足などで入学者を確保できない大学が淘汰されないことへの批判
といった点から、疑問を提示したようだ。
Twitter上では堀江氏に賛同する意見がみられた一方で、「そもそも学歴で判断する社会構造自体から変えるべき」という問題提起や「教育格差を減らすためには良い政策」といった反論もみられた。
世帯収入・保護者の学歴が高いほど子供の学力は高い
しかし、NPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長は、ハフポスト日本版の過去の取材に対して、成績優秀者が受け取れる返済が不要な奨学金の枠は、欧米などと比べて実際には非常に少ないと指摘し、給付型奨学金の拡充を訴えている。
また、2013年の学力テストを分析したお茶の水女子大の研究では、世帯収入と子どもの学力は強い関係にあることがわかっている。また、世帯収入と保護者の学歴で測るSES(社会経済背景)が高いほど子どもの学力は高いことが明らかになっている。
大学進学者と高校卒業者の間には大きな賃金の隔たりがある。男性の場合、大学・大学院卒平均が39万7000円、高校卒平均が28万1000円(いずれも2016年6月の調査)となっており、月給でおよそ10万円の差がある。
成績優秀者であっても貧困家庭には家計を助けるためなどの理由で大学進学を諦める子供が多く、渡辺理事長らは、それによる「貧困の再生産」が、将来的には社会保障費の増大につながるなどと指摘している。