中国の国会にあたる全人代が5月22日開幕し、中国政府への転覆や反逆行為などを禁じる「国家安全法」を香港にも適用するための審議が日程に入った。
香港は中国の特別行政区だが、大陸とは異なる法体系を持っている。安全法が適用されれば、香港の反政府デモなどを取り締まることが可能になるとみられ、「一国二制度」の形骸化が進むとして反対の声が上がっている。
■反政府デモも適用か
香港の憲法にあたる香港基本法23条では、もともと中国政府に対する反逆などを禁止する国家安全法の制定を求めていたが、これまでに作られてこなかった。
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また、2019年には逃亡犯条例の改正案が香港の市民を大陸に引き渡す口実になるなどとして、大規模な反対デモが繰り広げられた。改正案は撤回されたが、その後、林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官の辞任や完全な普通選挙の実現などを要求するデモに発展している。
今回、全人代の決定で国家安全法が香港にも適用されることになれば、こうしたデモ活動が取り締まりの対象になる可能性もある。民主派団体「デモシスト」のメンバー・周庭(アグネス・チョウ)さんは日本語で「中国政府による香港の完全破壊が始まった」「一国二制度の完全崩壊です」などと懸念を表明した。
同じくデモシストの黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんも英語で「私たちは中国の権威主義を世界に伝え続けるべきだ。我々が主張するのは、決して強いからではなく、他に選択肢がないからだ」と訴えた。
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李克強首相は22日の全人代で、香港を含む地域について「一国二制度や高度の自治を貫徹し、国家安全を守るための法律と執行体制を作る」などと述べた。
また、中国全人代の張業遂(ちょう・ぎょうすい)報道官は「一国二制度を堅持し、改善するために絶対に必要だ」と強調している。