東京オリンピック・近代五種競技で馬を叩いたドイツチームのコーチ、キム・ライスナー氏が、東京オリンピックの出場資格を剥奪された。
国際近代五種連合は、8月7日に発表した声明で、ライスナー氏が馬を拳で叩いている行動が「オリンピックを含む全ての近代五種競技の試合に適用される競技規則に反していると確認した」と説明。
東京オリンピックでの残りの試合、ライスナー氏の参加資格の剥奪を決めた。これにより、ライスナー氏は7日の男子競技への参加ができなくなった。
競技中に馬を叩く
近代五種は、フェンシング、水泳、馬術、レーザーランという5種類の競技で競う複合競技だ。
馬術では、選手たちは馬に乗って障害物をジャンプしながらコースを周る。
ライスナー氏が馬を叩いたのは、同競技女子のドイツ代表アニカ・シュロイ選手の馬術競技中だった。
シュロイ選手が騎乗した馬のセントボニーはいくつかの障害物を乗り越えず、セントボニーの扱いに苦労したシュロイ選手は競技中に涙を見せる場面もあった。
そして、シュロイ選手の求めに応じないセントボニーを、ライスナー氏が握り拳で叩いているところが、テレビカメラに撮影された。
ルールへの批判も
オリンピック近代五種の馬術で使われるのは、選手たちが自ら選んだ馬ではない。騎乗する馬は試合前に無作為で選ばれ、選手と馬が信頼関係を築くために使える時間は20分のみだ。
2016年のリオ大会では4位だったシュロイ選手。東京大会では馬術前の競技までは1位だったものの、馬術でポイント0となり、最終的に18位に終わった。
馬に対する暴力的な扱いに批判が高まった一方で、シュロイ選手がセントボニーを操るのに苦戦して大きく順位を落とした後、試合直前に馬を無作為に選ぶ規則は厳しすぎるのではないか、という声もSNSなどに投稿された。