JR常磐線の特急列車「ひたち22号」が2月16日深夜、悪天候の影響で約8時間遅れながら、一部区間が不通になっている東北新幹線に代わって約220人の乗客を上野駅まで届けた。
異例の深夜運転となったため、1月に廃止が発表された夜行列車「ムーンライトながら」になぞられて「ムーンライトひたち22号」と呼ばれることになった。翌日に入試を控える大学受験生がいないか、乗務員が全乗客に確認したことが話題となり、「東北の受験生の夢を守ろうとした」と称賛を集めている。
■「爆弾低気圧」の影響で8時間遅れで上野到着。受験生がいないか全乗客に確認
13日夜、東北地方で最大震度6強を記録した地震の影響で、東北新幹線は那須塩原と一ノ関駅間の上下線で終日運転を見合わせている。
JR東日本・本社広報部によると「ひたち22号」は本来は、いわき~品川間の特急だが、東北新幹線の代用として2月15日から、仙台~いわき間を臨時快速列車とする形で延長運転した。本来は午後1時57分に仙台を出る予定だったが、悪天候と線路点検のため、約4時間遅れの午後5時55分に発車。この時点で終着駅が上野に変更。約200人の乗客が乗っていたという。
15日は急速に発達する「爆弾低気圧」が日本近海に発生。そのため「ひたち22号」は、大雨と強風の中で徐行と停止を繰り返しながら運転。予定時刻から約8時間遅れの深夜2時38分に乗客約220人が上野駅に到着した。
すでに他の路線は終電になっていたことから、乗客は午前4時45分まで車内がホテル代わりに開放され、多くの乗客が車内で夜を明かしたという。大幅な遅延が予測されたことから、仙台を含めて計4回、水やパン・おにぎりなどの軽食を乗客に提供したという。特急券は払い戻しになった。
「ひたち22号」は車内アナウンスをした上で、福島県南相馬市にある原ノ町駅付近で、全乗客に降車予定の駅と「翌日に大学受験を控えていないか」を乗務員が聞き取ったが、受験生は確認できなかった。JR東日本の担当者は「極力、受験生に差し支えがでないように配慮した」と話している。