日本には、女性が自分でできる避妊方法が少ない。知る機会もなかなか得られないが、性について語るイベントなどで、近ごろ紹介される機会が増えてきた避妊方法がある。
子宮のなかに直接入れるタイプの避妊器具、IUS(子宮内避妊システム)だ。
11月4日にあった、中央大学のイベント「AVの教科書化に物申す」でも、紗倉まなさんが使っていると語って話題になった。
でも、見たことないし、どんなものかも分からないという声も聞く。実際、どんなものでどのくらい普及しているんだろうか。
みんなどんな避妊方法を使っているの?
いま、「避妊」と言われたら、何種類が思い浮かぶだろう。
コンドーム?それともピル?
日本では、欧米諸国と違って避妊の選択肢が少なく、情報を手に入れる機会も少ない。
そのため、女性が主体的に選べる避妊方法は限られてしまい、ほとんどの人は、男性が主体的に選ぶコンドームを使っている。
コンドームの場合だと、外れたり破れたりしたら避妊は失敗する。
また、男性の協力が不可欠なので、「中に出さなければ大丈夫(膣内射精しなければ妊娠しない)」などと間違った知識を信じていたり、「気持ち良くないからつけたくない」などと言われたりして、拒否されたら女性に妊娠を防ぐすべはない。
IUDってなに?
経口避妊薬として、毎日決まった時間に女性が飲むピルも近年普及してきたが、それでも使っている人は4.2%。IUDに至っては、0.4%しかいない。
国内では、ほとんど普及していないIUD(子宮内避妊器具)。子宮のなかに入れて妊娠を防ぐ小さな器具のことだ。
2017年までの国連の調査によると、海外では、国によってばらつきはあるものの、中国40.6%、フランス21.5%、デンマーク23.9%とピルと同様に受け入れられている場所も多い。
IUDの大きさは、ペットボトルのキャップより少し大きい3.2cm程度。
材料は柔らかいプラスチックなどで作られていて、T字型の下の部分に銅や黄体ホルモンを付加した製品が主に使われている。
銅が付いているIUDは、なぜ効果があるかは、ピルほどは明確ではない。
子宮内膜で必要な補酵素である亜鉛イオンの活性を、銅イオンが阻害して、受精卵の着床を阻害するという説が有力。また、デメリットとして月経のときの出血量が増えることがある。
新しい避妊器具IUS(ミレーナ)
近年は、IUDのなかでも黄体ホルモンを付けたIUS(ミレーナ)が普及している。
日本では、2007年に厚生労働省から認可を受けた。
黄体ホルモンが子宮内に持続的に出ることによって、子宮の内膜が厚くならないため、受精卵が着床するのを防ぐことができる。
内膜が薄いままということは、月経時の出血量がほとんどなくなり、おなかの痛みも緩和される。
そのほか、子宮頚部の粘膜を変化させて、精子が侵入するのを防ぐ効果もある。
器具を入れるときに、子宮頚部の固さから、未産婦は痛みを伴う。もともとは子どもを産んだ経験のある人向けだったが、アメリカなどではskylaという思春期の女性向けの小さな器具も出た。
子どもを産んだことのない女性でもより安心して使えるようになっているが、日本ではskylaの認可が下りていない。
こうした方法は、飲み忘れや日々気をつけることもなく、ピルを正しく服用しているときと同様に効果が高く安全に避妊できる。
銅が付いているIUDは、経産婦が対象で使用期限は2~5年。IUS(ミレーナ)は5年で、子どもを産んだことがなくても、つけている人もいる。
いずれも医師が取り付けをし、自然に脱落してないかのチェックなど、定期的に婦人科に通う。取り出すときは、医師に取り出してもらう。
最新の避妊方法であるIUS(ミレーナ)については、11月10日放送のSHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/再放送は11月11日17時~、26時~)でも、詳しく解説されている。
それぞれのメリットデメリット。性感染症予防は絶対にコンドーム。
男性の協力なしに、女性が選べる避妊法は、日本ではピルか、IUSを含むIUDになるだろう。
最大のデメリットは、性感染症を防げないというところだ。性感染症を予防するために、自分で選んだ避妊方法にプラスしてコンドームは絶対に必要になる。
また、定期的に一緒に性感染症の検査を受けて、不安を取り除くことも大切だ。
〈メリット〉
性感染症の予防になる。薬局やコンビニで買えるので、手軽に入手可能。
〈デメリット〉
避妊成功率が、一般的な使用の場合避妊成功率は85%と低く、正しい着用ができていないことも多い。
〈費用など〉
1ダース1000円程度。
〈メリット〉
使用方法は簡単で、高い避妊効果がある。ニキビなどの肌荒れが緩和されることがある。
〈デメリット〉
毎日一定の時間帯に飲む必要があり、飲み忘れると避妊効果は低くなる。飲み初めは吐き気などを感じることがあり、まれに血栓症という重大な有害事象が出る。ヘビースモーカーや高血圧の人などは服用を禁止されている。病院で処方してもらう必要がある。
〈費用など〉
1シート2000~5000円程度。価格は医療機関によって異なる。
〈メリット〉
安全性が高く、継続性がある。薬の飲み忘れを心配しなくていい。授乳中も使える。
〈デメリット〉
子宮の形が適さない人は使えない。月経のとき、出血量が増えることがある。まれに体外に出てしまうことがある。病院での取り付け、除去が必要。出産を経験した女性が対象で、未産婦は入れられないことが多い。
〈費用など〉
1回の装着で2万~5万円程度。価格は医療機関によって異なる。
〈メリット〉
安全性が高く、継続性がある。薬の飲み忘れを心配しなくていい。月経の出血量が少なくなり、お腹の痛みも緩和される。出産経験のある人が主に対象だが、未産婦でも相談に乗ってくれる医療機関がある。
※相談できる医療機関一覧はこちら。
〈デメリット〉
子宮の形が適さない人は使えない。取り付けてから数ヵ月間は、月経以外の出血が続くことがある。まれに体外に出てしまうことがある。病院での取り付け、除去が必要。
〈費用など〉
自費の場合、3万~5万円程度。過多月経や、月経困難症の場合、保険適用で1万~1万5千円程度。
避妊に失敗した。そんなときは72時間以内に婦人科へ。
子どもを望んでいないのに避妊に失敗したり、雰囲気に流されて避妊せずにセックスしてしまったら、72時間以内に緊急避妊薬を飲む必要がある。
婦人科で処方してもらえる緊急避妊薬「ノルレボ」は、1万5000円ほどと高価だが、高い確率で妊娠を防ぐことができる。
また、120時間以内に、子宮内にIUDを挿入することで、受精卵の着床を防ぐ方法もある。この場合、緊急避妊後に器具を入れたままにしておけば、数年間効果の高い避妊を続けることができる。
突然の妊娠、避妊に不安があるセックス、ひとりで悩まないで
相手がコンドームを拒否している、コンドームが破れていた、性についての知識がなかったーー。
思いがけない妊娠をしたら、相談できる窓口がある。性暴力についての相談も受け付けている。
ひとりで悩んだり、自分を責めたりせず、まずは話を聞いてもらうことが大切。状況を整理して自分と赤ちゃんの将来について考えることができる。
EC・OC コール (EC= 緊急避妊、OC= 経口避妊薬の略称)
【電話】03-3267-1404 ※セックスから72時間以内に緊急避妊を
【時間】月曜日~金曜日 10:00~ 16:00(祝祭日・年末を除く)
思春期婦人科クリニックの運営のほか、保健指導などをしている日本家族計画協会の相談員が回答する。近くで緊急避妊薬を処方してくれる医療機関の紹介をしてくれる。相談無料。通話料のみ負担。
SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談
【24時間緊急電話】0120‐783-449 メールはホームページから。
相談無料。秘密厳守。
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一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク
全国の自治体や、民間団体の相談窓口をインターネット上で紹介。 窓口名をクリックすると、連絡先や開設時間が載っている。また、妊娠に関する悩み別の情報や、Q&Aが読める。
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