湖に浮かぶ島に2年もの間取り残されていたロバが、ついに救出された。
地元の人たちから親しみを込めて「ヒラリー」と名付けられたこのロバは、たった一匹で、カリフォルニア北部にあるマクルーア湖に浮かぶ1.3エーカー(約5260㎡)の島に取り残されていた。
2年前、湖は干ばつのために干上がっていた。当時ヒラリーは、他のロバたちと一緒に、群れで湖底周辺で生活していたと考えられている。
しかし2年前に激しい雨が降り、高台部分を残して湖は再び水で満たされた。群れの仲間たちは陸地に戻ったが、後れを取ったヒラリーは、高台部分に取り残されてしまった。
ヒラリーが逃げ遅れたのは、前足にケガを負っていたのが原因だと思われると、マーセッド・サンスター紙は伝える。
たった一匹で島に残されたヒラリーは、地元でちょっと知られる有名ロバになった。サンフランシスコ・クロニクル紙によると、ヒラリーが生き残れるよう、動物愛好家たちがヒラリーのために干し草や野菜、果物などを持ってきた。
しかし、ロバは群れで生きる動物。一人で島に取り残されたヒラリーは、寂しい思いをしていたはずだ。地元に住む元刑事のハリー・マルカリアンさんは、2年前からなんとかしてそんなヒラリーを島から救出したいと考えていた。
様々な州機関に相談したが、どの部署からも「自分たちの責任ではない」と言われ、マルカリアンさんはたらい回しにされ続けた。
そうやって2年間、島で暮らし続けたヒラリー。しかし8月23日、救出計画がついに実現した。救出にあたったのは、カリフォルニア州の野生生物局だ。同局は約20人からなるレスキューチームを島に送って、ヒラリーの捕獲を試みた。
チームは最初、囲いを作ってヒラリーをスイカでおびき寄せ、捕獲するつもりだった。しかし用心深いヒラリーは、スイカの入った檻の中には近づかなかった。結局、スイカはガチョウに食べられてしまったという。
最終的に職員たちは、麻酔矢を使ってヒラリーに鎮静剤を打ち、ボートに乗せて島から運び出した。
ヒラリーは救出された後、カリフォルニア州・サクラメントの近くにある、ロバ保護NPO「ピースフル・ヴァレー・ドンキー・レスキュー(PVDR)」の施設で保護された。
ケガのせいで群れから拒絶されないように、施設で保護したと、野生生物局のボブ・スタンフォードさんはハフポストUS版に明かす。
PVDR広報のジェシカ・アンセルメントさんによると「ヒラリーは、隔離された檻で保護されていて、獣医師が健康状態をチェックする」という。
前足に怪我をしているため「特別な支援が必要なロバたち」のグループに加わって、仲間達と生涯暮らす予定だ。