4月から始まる新生活に向け、引越しの手配をしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、荷物の破損や紛失など、引越し業者とのトラブルが発生しているのも事実です。どんなことに気をつけたらいいのか、まとめました。
荷物の破損・紛失、22年は1952件の相談
国民生活センターによると、引越しの作業中に荷物を破損・紛失されたといった相談は2022年、1952件ありました。
21年は1868件、20年は1948件だったため、毎年多くの相談が寄せられているようですね。例えば、次のような相談があったといいます。
「業者から『大きすぎる』と言われてベッドの運搬を断られた。追加料金も請求され、納得できない」
「業者がパソコンモニター入りの段ボールを雑に扱い、モニターの足が壊れた。補償してほしい」
「搬入の際、家電や家具についた泥で室内が汚れ、家電自体にも泥が入り込んだ。清掃や清掃費を求めたが応じてくれない」
「ダイニングセットのへこみや傷、ベッドマットの破れが生じた。業者に連絡すると、修理や買い替えの対応はできないと言われ、納得できない」
「業者が見積りを取ったが、後から届いた明細書の金額が見積時より3万円高くなっていた」
3カ月以内に申し出る
このほか、60歳代の利用者のケースが特筆して取り上げられていました。具体的には以下の通りです。
「業者に荷造りを任せて引越しをした際、有名作家が作った一点ものの陶器の縁が欠けてしまった。責任を認めて弁償すると言ったため、約4万円を求めたが、ずいぶん少ない金額を提示された。事前に貴重な陶器とは申告していないが、有名作家が作ったものなので今購入したらもっと高額。納得できない」
このケースでは、国民生活センターは「ひとこと助言」として、次のようなことを記載していました。
①破損や紛失があった場合、荷物の引き渡し後3カ月以内に申し出ないと業者の責任が消滅するため、すぐに荷物の状態を確認することが大切
②引越しの契約には、国が定めた「標準引越運送約款」か「国土交通大臣の認可を得た事業者独自の約款」が使用され、契約内容は原則、契約した際の約款の記載に従うことになるため、よく確認する
③貴重品や壊れやすいものなどはあらかじめ業者に申告する
④損害賠償が受けられる場合も、購入時の価格が補償されるわけではないことを認識する
⑤困ったら自治体の消費生活センターなどに相談する(消費者ホットラインの短縮ダイヤルは「188」)
このほか、引越し直後の消費者を狙った訪問販売トラブルもあります。「管理会社から紹介された」などと勧誘されても、安易に契約書を書かないように注意してください。