沖縄県にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設計画をめぐり、辺野古の沿岸部を埋め立てることについて是非を問う県民投票が2月24日、投開票され、反対票が投票総数の7割を超えた。県が発表した。
反対票の数は、玉城デニー氏が2018年の沖縄県知事選で当選した際に集めた過去最多の得票も超えており、辺野古への移設に反対する県民の強い「民意」を改めて示した格好だ。
沖縄県宜野湾市にある普天間飛行場をめぐっては、安倍政権が同県名護市辺野古への移設を強行。沿岸部の埋め立て工事を進めている。
これに対し、玉城デニー・沖縄県知事は「安全保障面での負担は全国で担うべき」と移設先が県内になったことに反発。選挙戦の段階から辺野古に基地を造らせない姿勢を貫いてきた。
県議会も2018年10月、市民団体の署名活動を受けて県民投票のための関連条例を可決。投票の選択肢は、移設に「賛成」「反対」「どちらでもない」の3つとなり、県内全41市町村の18歳以上の有資格者を対象に実施された。
沖縄県によると、投票総数は60万5385人で、うち賛成に投じたのは11万4933人(18.99%)。これに対し、「反対」と投票したのは43万4273人で、投票総数の71.74%を占めた。
辺野古の埋め立てにしぼって地元・沖縄の民意が示されたのは初めてだ。
結果に法的拘束力はないが、反対票が投票資格者数(115万3591人)の4分の1(28万8398票)を超えたことから、県民投票条例の決まりで、玉城知事は安倍晋三首相とアメリカのトランプ大統領に結果を通知する。
また、投票率は52.48%で、民意と言える「目安」とされてきた50%を超えた。
2018年の県知事選で当選した玉城知事が得た39万6632票(沖縄県知事選として過去最多)をも上回った。
今後の展開は?
沖縄タイムスによると、玉城知事は25日、県議会で「十分な民意が示された」と発言。その上で、「辺野古が唯一の解決策という方針を直ちに見直し、普天間飛行場の早期返還という根本的な解決に向け、対話に応じるよう(安倍首相に)強く求めたい」と述べた。
これに対し、安倍晋三首相は25日、「投票の結果を真摯(しんし)に受け止め、これからも基地負担軽減に向けて全力で取り組んで参ります」と述べた、と朝日新聞デジタルは報じた。
辺野古への移設工事はこれまで通り進める方針で、沖縄県と国との対立は法廷闘争も含め、さらに深まりそうだ。
だが、琉球新報によると、埋め立て予定地の一部に軟弱な地盤が見つかり、工事が長期化する可能性が出てきた。費用も膨らむとみられ、安倍政権の思惑通りには行きそうにない。
一方、玉城知事の支持母体「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」は3月16日に県民大会を開き、新基地建設の断念を訴える方針という。
別の区域への土砂投入が3月25日から始まる予定で、これに先立ち、国の動きを牽制する狙いがある。