10月になって続々とノーベル賞受賞者が発表されているが、にわかに注目を集めているのが早川書房だ。
文学賞のカズオ・イシグロ氏のほか、物理学と経済学の各賞で、受賞者が書いた本や登場する本を出版していたことで、先見性を称賛する声が続々と上がっている。
「重力波の観測」で物理学賞を受賞したライナー・ワイス、キップ・ソーン、バリー・バリッシュの3氏から直接取材し、その軌跡を詳細に記録したノンフィクションが「重力波は歌う」。
重力波の観測をめぐる、確執、駆け引きなどの人間ドラマを描いたこの本を絶賛する人は多い。
ノーベル物理学賞の重力波初観測の舞台裏を描いた『重力波は歌う』って本が超面白かったからみんな読むといいよ。彼らの何が凄いって「人間は必ず間違う」って確信から定期的に偽の重力波信号を混ぜてたとこ。だから初観測の時も「ダミーデータか?今って検証期間だったか?」とそっちしか疑ってない pic.twitter.com/60NZznxNmG
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2017年10月3日
経済学賞を受賞したアメリカの行動経済学者、リチャード・セイラー氏の自伝的著作が「行動経済学の逆襲」。
でも、行動経済学の本はこれだけ出しているわけじゃない。米国で行動経済学ブームの火付け役となったダン・アリエリー氏の本もしっかり抑えている。
そして文学賞のカズオ・イシグロ氏の小説は「日の名残り」など8作品を翻訳。受賞を受けて急遽22万5千部を増刷する。
イシグロ氏とつながりの深い早川浩社長は5日の記者会見で以下のように話した。
近年候補に挙がり、近いうちに受賞されると思っていた。涙が出るほどうれしい
作者や関連分野の受賞が相次ぎ、あまりの大当たりっぷりに早川書房の翻訳SFファンタジイ編集部もTwitterで喜びを隠さない。
三冠を受け、ネット上では受賞直前に文庫化していたタイミングのよさや、海外の作品を長年紹介してきた同社への愛を語る人も。
しかし先月『重力波は歌う』を文庫化して今月カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』を文庫化予定なの、早川書房の文庫化決める担当に時間遡行者でもいるんじゃないかってくらいタイミングが良いな。
— さてぺら (@sateperaga) 2017年10月5日