ハーバード大生、福島で歌う。

グリークラブのツアーがなければ、僕はパトリック・ハーランのままでパックンにはならなかった。

こんにちは、パックンマックンのパックンです。

現在、僕が学生時代に所属し、かつて部長も務めていたハーバードグリークラブという全米で最も歴史のある男声合唱団が日本でツアーを行っています。僕は今回そのツアーの親善大使を務めています。

いま僕はマックンと「大衆芸能」をやってますけど、「芸術」の探求と研鑽という意味では、あのハーバードグリークラブの4年間が最高到達点だったと思ってます。それぐらいレベルが高く、また本気でした。

僕は出身のコロラド州の選抜合唱団に入ってたこともあって、大学に入学してから意気揚々とグリークラブのオーディションを受けにいったんですけど、グリークラブにはそんなぐらいの学生がごろごろいたんです。OBとしてはセオドア・ルーズベルト、フランクリン・ルーズベルトという二人の大統領が有名ですが、音楽の世界でも世界的な指揮者として活躍したレナード・バーンスタインがいます。

同級生でも12歳で高級ピアノメーカーの老舗であるスタインウェイからピアノを贈られたという音楽の寵児がいました(残念ながら!?今はビジネスマンですけど、そこで才覚を発揮しています)。

この合唱団は4年に1度海外公演ツアーを行っており、日本に来たのは実に24年ぶり。そして前回のツアーに来た僕は、ツアーで他のアジアの国を回ったあと、アメリカに戻る飛行機には乗らないで、友人のいた福井に行き、そこから日本における生活をスタートさせました(部長だったのにね)。グリークラブのツアーがなければ、僕はパトリック・ハーランのままでパックンにはならなかった、というわけです。

さて、ハーバードの後輩たちは18日夜に早稲田大学のグリークラブの皆さんと渋谷で公演を行った後(詳細)、20日夜に福島は郡山で、地元の高校生たちとチャリティコンサートを行います

(郡山には僕もMCで参加します。詳細)。

せっかくだから福島もぜひ、というのは僕が提案しました。福島はいまや外国人が知っている日本の地名の一つになっています。しかし残念ながら、多くの外国人がその場所にいい印象を持っているとはいえません。だからこそ、日本に来るんだったら、彼らにも福島の今を見てほしいと思いました。幸い郡山は「楽都」でもあり、とりわけ合唱は盛んで強豪校が集まっている地域でもあります(今回は安積高校、安積黎明高校、郡山高校、郡山東高校、日本大学東北高校、郡山女子大学付属高校から100名以上が参加)。ご厚意もあって一部の大学生たちはホームステイもさせてもらうことにもなりました。素晴らしい経験となるに違いありません。

また日本公演のために、グリークラブの後輩たちには復興支援ソングの「花は咲く」も練習してもらいました。僕も16日の東京公演で聴いていましたが、お世辞抜きで鳥肌が立ちました。これを福島の高校生たちと合唱することを想像しただけで目頭が熱くなる思いです。

チャリティコンサートのコーディネートに尽力くださった先生たちの中には、現在も避難指示が出ている浪江町の出身の方もいます。出会いはたとえ一瞬でも、僕のように人生を変えるものになることもあります。将来アメリカを、いや世界を担うであろう学生たちに、自分が見て、知って、語り合って、感じた日本、そして福島を、ぜひ人生の糧にしてほしいと思っています。

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