ハリス氏、ガザをめぐる政策はバイデン大統領と「変わらない」イスラエルの軍事支援に条件を付けない意向を示す

パレスチナ侵攻に反対する人々は、アメリカはイスラエルへの武器輸送に条件を付けるべきだと訴えている
ジョージア州で開かれた選挙集会で演説するカマラ・ハリス氏(2024年8月29日)
ジョージア州で開かれた選挙集会で演説するカマラ・ハリス氏(2024年8月29日)
Win McNamee via Getty Images

カマラ・ハリス氏は8月29日、米民主党の大統領候補として初のロングインタビューに臨んだ。

7月に大統領候補になって以来、注目されていることの一つが、イスラエルへの軍事支援において、現職のジョー・バイデン大統領と違いを出すかどうかだ。

バイデン大統領は、パレスチナ・ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルに対し、一部の例外を除いて、条件を課さずに軍事支援や兵器売却をしてきた。 

CNNのインタービューに応じたハリス氏にダナ・バッシュ記者はハリス氏に「武器輸送の一時停止も含め、ガザに関してバイデン大統領と異なるアプローチをとるか」と尋ねた

これに対しハリス氏は、「イスラエルの防衛と自衛能力に対する私の立場は、明確で揺るぎないものです。それは変わりません」と答えた。

「イスラエルには自国を守る権利があります。私たちはそれを支援します。それをどうやるかが重要です。あまりにも多くの、罪のないパレスチナ人が殺されています。私たちは停戦を実現させなければなりません。停戦して戦争を終わらせ、人質を開放しなければいけない」

バッシュ記者が改めて「武器などの面で政策の変更はないのでしょうか」と確認すると、ハリス氏は「ない」と即答。軍事支援に条件を付けない考えを示した。

「ありません――私たちは停戦交渉を成立させなければなりません。それがあの地域に住む人々や家族にどれほど大きな影響を与えるかを考えれば、そうすべきです」

「停戦交渉は、この戦争を終わらせるために不可欠であるだけでなく、それなしでは何も始まらないのです」

「私は(イスラエルがハマスへの大規模攻撃を始めた)2023年10月以降、イスラエルの安全が守られるのと同じようにパレスチナ人が安全と自己決定と尊厳を得るために、2国家解決に向けて私たちがなすべきことに尽力し続けています」

イリノイ州シカゴで開かれた民主党全国大会の会場外では、親パレスチナのデモが行われた(2024年8月21日)
イリノイ州シカゴで開かれた民主党全国大会の会場外では、親パレスチナのデモが行われた(2024年8月21日)
Anadolu via Getty Images

ハリス氏の姿勢は、イリノイ州シカゴで8月19〜22日に開催された民主党全国大会での発言と変わらない。

ハリス氏は民主党全国大会で「イスラエルの自己防衛の権利を擁護する」「終戦と人質開放、ガザでの苦しみが終わり、パレスチナの人々の尊厳と安全と自由の権利が守られるよう取り組んでいる」と述べている

一方、イスラエルのパレスチナ攻撃に反対する人々は、ハリス氏がバイデン氏よりも厳しい措置を講じることを期待している。

ハマスの人質となったイスラエル系アメリカ人ハーシュ・ゴールドバーグ=ポリーンさんの両親が招待されてスピーチを行った一方、パレスチナ系アメリカ人の講演者の登壇は認められなかった

ハマスは2023年10月7日にイスラエルを襲撃し、1200人以上を殺害、200人以上を人質として連れ去った。イスラエルはこの日からガザ地区に激しい攻撃を続けており、これまでに4万人以上のパレスチナ人が亡くなっている。

イスラエルは自国の攻撃を正当だと主張しているが、多くの人権団体や外国政府は、イスラエルの右派政府が戦時国際法に違反し、残虐な行為をしていると非難している。

さらに、イスラエルのネタニヤフ首相は政権の崩壊を避けるために停戦に協力せず、戦争を長引かせているのではないかとも言われている。

バイデン氏はこれまで、ガザ南部の都市ラファにイスラエルが侵攻を開始すれば武器供給を停止すると伝え、2000ポンド(約907キロ)の爆弾の輸送を一時停止するなど、イスラエルによる一部の政策についての批判を行動で示したこともある。

しかし、イスラエル軍がラファでの攻撃を止める兆しはなく、ガザ全域で軍事作戦を継続している。

そのため、パレスチナ侵攻に反対する人々は、アメリカはイスラエルへのすべての武器輸送を禁止するか、武器輸送と引き換えにイスラエルに政策変更を飲ませるべきだと訴えている。

ガザではイスラエルの人など約100人がハマスの人質として捕らえられており、アメリカ、カタール、エジプト、イスラエル、ハマスの間で人質解放を含む停戦に向けた話し合いが続けられている。

イスラエルとハマスの武力衝突は、中東地域での本格的な戦争に発展する恐れもあり、ハリス氏が11月の大統領選で勝利してバイデン氏の後任になった場合、外交政策上の重要な課題になるだろうと考えられている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

注目記事