和菓子店「花園万頭」(東京・新宿区)が5月31日、東京地裁に破産を申請し、保全管理命令を受けた。負債総額は約20億円。
ピークとなる平成6年6月期には売上高約42億円をあげていた。 しかし、バブル期に過剰な有利子負債を抱えたほか、東日本大震災後の販売不振など業況が悪化。さらに近年は、消費低迷による売上不振が続き28年6月期には売上高20億1105万円に減少し、1億9042万円の赤字となり、債務超過に転落。29年6月期も売上高は19億272万円にとどまり、経営悪化に歯止めが立たず、今回の措置となった。
今後、直営店舗やデパートに入居する売り場はどうなるのか。花園万頭の担当者はハフポスト日本版の取材に対し、「現在のところ各店舗は6月7日までは営業する予定だが、在庫が無くなれば営業を終了する」と回答。インターネット上での受注はすでに取り止め、新規の商品生産は行わないという。
■創業180年以上の老舗「花園万頭」
「花園万頭」は創業180年以上の歴史を誇る老舗。「日本一高い、日本一うまい」のキャッチコピーでも知られる。
起源は1834年(天保5年)に石川県・金沢で創業した「石川屋本舗」にさかのぼる。1906年、3代目の石川弥一郎が東京進出を決意。青山の地に店を構えた。
その後、赤坂への移転や火災による消失を経て、1930年(昭和5年)に、現在の新宿の土地に出店。近くにある花園神社の名にちなんで、屋号を「花園万頭」とした。ここはかつて加賀藩前田家の御用地だった。
看板商品は屋号にもなっている「花園万頭」。上品でなめらかな餡が魅力。独特の俵型は、女性が大きな口を開けて食べなくてすむよう配慮したものだという。
主力商品の「ぬれ甘なつと」も発売以来の人気を誇る。じっくり蜜漬けすることで、口に入れた瞬間にとろけるような食感を生み出す。