5月23日に急逝したプロレスラーの木村花さんの死は多くの海外メディアに報じられ、世界中に衝撃と深い悲しみを与えている。
SNSには、多数の悲しみのコメントや木村さんの写真などが、#RIPHanaKimura(木村花さんどうか安らかに眠ってください)というハッシュタグとともに投稿されている。
木村さんの死で海外からも注目が集まっているのが、ネットいじめの危険だ。
木村さんはプロレスラーとして活躍すると同時に、海外でも人気のリアリティ番組「テラスハウス」に出演していた。そして番組内での言動に対して、多くの誹謗中傷がネット上に投稿されていた。
ロサンゼルスタイムズは、テラスハウスメンバーの1人が木村さんのレスリングのコスチュームを洗濯し、それに対して木村さんが激しく怒ったことで、ネット上で彼女に対する激しい攻撃が起きたと伝える。
そして木村さんの死により、今度は彼女を非難した人たちが攻撃のターゲットになっていると説明する。
ネットいじめは人を追い詰める
Forbesの報道によると、プロレスラーはしばしば、ネット上の攻撃になる。
木村さんが亡くなった後、プロレスラーの仲間を始め多くの人たちが、ネットいじめをやめようと訴えている。
アメリカのプロレスラー、ロンダ・ラウジーさんはInstagramに「この痛みを癒す言葉が見つからない」と投稿。「ささいな一言であっても、ネットいじめは誰かを追い詰める」と警鐘を鳴らした。
「ネット上で他の人を攻撃する人たちは、自分自身の中にいる悪魔と闘っているんだと思う。だけどどうか、心の中の悪意を他の人を毒さない形で吐き出す方法を見つけてほしい」
「ささいな一言が最後の一撃になってしまうことがある。ほんの小さな攻撃が誰かを追い詰めてしまうことになるから」
同じくプロレスラーのニッキー・ベラさんも、 「言葉は、心が一年かけて作り上げてきたものを、あっという間に壊すことができる」と綴り、他の人に向ける言葉に十分注意して欲しいと訴えている。
その他、ミック・フォーリーさんや、レイチェル・エラリングさんといったレスラーらも、ネット上では「他の人にどうか優しい言葉をかけて」と訴えている。
「木村花さんは22歳だった。22歳…彼女の人生はまだこれから目の前に広がっていたのに。
ネットいじめが誰かの人生の一部になるべきではありません。そして当然ですが、誰かの死の一部になるべきじゃないんです。
木村花さんは22歳だった」
「どうか他の人に優しく、そして親切に接してください。(木村さんの死に)胸が張り裂けそうです」
「木村花さんの死は、悲劇です。これをきっかけにして、ソーシャルメディアのやりとりは、相手が誰であろうと、メンタルヘルスに大きな影響を与えるという議論が広がって欲しい。他の人に優しくあろう。木村花さん、どうか安らかに」
「人々は、自分の言葉/冗談/エネルギー/攻撃が他の人にどんな影響を与えるのか理解していない。離れているから、顔が見えないから、それが無実で無害ということにはならない」
深刻なネットいじめ。女性がターゲットになりやすいという研究も
ネット上の攻撃やいじめは、これまでも問題になってきた。
2019年に亡くなったKポップ歌手、「f(X)」元メンバーのソルリさんと「KARA」元メンバーのク・ハラさんは2人とも、深刻なネットいじめを受けていた。
ネットいじめのターゲットになるのは著名人だけではない。ピューリサーチセンターの研究では、アメリカのティーンエイジャーの59%がネット上の嫌がらせを受けていた。
またOECDは2019年の発表で、女性がネットいじめのターゲットになりやすいと指摘している。