性的扱いに抗議するユニタード、オリンピックでもデビュー。「何を着るかは自分で選べるべき」

大きな話題になった、ドイツ女子体操選手のユニタード。脚を覆うユニフォームで選手たちが伝えたかったことは
東京オリンピックで競技する、エリザベト・ザイツ選手(2021年7月25日)
東京オリンピックで競技する、エリザベト・ザイツ選手(2021年7月25日)
LIONEL BONAVENTURE via Getty Images

ドイツの女子体操選手たちが着て、世界的に注目を集めた「ユニタード」。

くるぶしまで脚が覆われたこのユニフォームを、ドイツ女子体操チームは7月25日に開かれた東京オリンピック・体操女子団体の予選でも着用した。

ドイツ体操女子チームは4月のヨーロッパ体操競技選手権でもユニタードを選び、ユニフォームのあり方を考えるきっかけを作った。 

抗議のユニタード

東京オリンピックでユニタードをデビューさせたのは、ザラ・フォス選手、キム・ブイ選手、エリザベト・ザイツ選手、パウリネ・シェファー=ベツ選手の4人の女性体操選手たちだ。

ロイターによると、選手たちは予選前のトレーニングでもユニタードを着用していたが、その時には本番でもユニタードを選ぶかどうかは明言を避けていた。

しかし25日の予選でも、4選手はユニタードを着て試合に臨んだ。 

ただ、選手たちは毎回ユニタードを着用するわけではなく、レオタードを選ぶ時もある。「その日にどう感じるか、何を着たいかで決めています」とザイツ選手はロイターに話す。

パウリネ・シェファー=ベツ選手(2021年7月25日)
パウリネ・シェファー=ベツ選手(2021年7月25日)
LIONEL BONAVENTURE via Getty Images

ドイツの女子体操チームは、4月に開かれたヨーロッパ体操競技選手権で初めて、ユニタードを着て競技した

女性体操選手たちの多くは、ビキニのように脚の付け根に切り込みのあるレオタードで競技するものの、体を覆うユニフォーム着用も国際ルールで認められている。

しかしドイツの選手たちが着るまでは、脚を覆うユニフォームを選ぶ場合はほとんどが宗教上の理由によるものだった。

選手たちがユニタードを着用した理由の一つには、女性アスリートが性的な目的で撮影されるなどの問題があり、ドイツチームは「女性アスリートが性的な対象として扱われていることへの抗議」だと説明している。

さらにフォス選手も、自分にとって快適なユニフォームを着たいと述べた

何を着るかを自分で選べるべき

体操選手たちはレオタードとユニタードから望む方を選べるが、望むユニフォームが選べない選手たちもいる。

ノルウェーの女子ビーチハンドボールチームは7月のヨーロッパ選手権で、ビキニパンツを拒否して短パンを着用し、罰金を科された。

国際ハンドボール連盟のユニフォーム規定では、「女性選手はビキニパンツを着用」と定められており、短パンを選べない。

しかしビキニ義務付けを疑問視する人は多く、罰金が科されたニュースが伝えられると、「性差別的」「女性選手を性的対象として扱うな」などの批判が起きた

ドイツの女子体操チームは25日の予選で9位となり、団体として決勝に進むことはできなかったが、ユニフォームを通してメッセージを伝えることができたのかもしれない。

ザイツ選手はロイターに「すべての女性、そしてすべての人が、何を着るかを自分で選べるべきだということを伝えたかった」と語っている。

注目記事