有名絵画を展示する郡立美術館から、新生アーティストやライブパフォーマーが夜中まで盛り上がりを見せるダウンタウンのアートウォークまで、街中に芸術がいっぱいのロサンゼルス。
観光地としても華やかな印象のあるロサンゼルスですが、一旦都心から離れると、目の前に見える景色は、乾燥した砂漠や岩山が延々と続く荒野の大地。灼熱の太陽の下には過酷な大自然が広がっています。
しかし、そんな環境の中にも飛躍する秘境のアートスポットが。実は、ロサンゼルス郊外には、ガイドブックにはあまり載っていない不思議な隠れアートがたくさん存在しています。厳しい環境の中に現れるその姿はあまりにも幻想的で、まるでトワイライトゾーンの世界に紛れ込んでしまったかのような不思議な感覚を覚えます。
閑々の青空の下に広がる砂の大地と見事に競演を果たす芸術作品、必見です。
イーストジーザス East Jesus
23 Sidewinder Rd, Niland, CA 92257
ロサンゼルス在住のアーティスト、ジョー・ホリデイを含む数名の彫刻家によって制作されたスカルプチャーの庭。地中に沈んでいく家、サイケデリックカラーの装飾品が施された車、ゴムで作られた巨大マンモスなど、躍動感のある彫刻の数々が印象的。
ガレッタ・メドウズ・メタル・スカルプチャー・ガーデン
Galleta Meadows Metal Sculpture Garden
786 Palm Canyon Dr, Borrego Springs, CA 92004
砂漠に突如出現する巨大な鉄の動物たち。ティラノサウルスやゾウの彫刻が迫力満点ですが、中でも地面を縫うように進むシー・ドラゴンは圧巻。彫刻家のリカルド・ブリシーダ氏が、土地所有者からの依頼をきっかけに制作を開始。130もの鉄の塊に息を吹き込みました。
デザート・キリスト・パーク Desert Christ Park
56200 Sunnyslope Dr, Yucca Valley, CA 92284
ユッカ・バレーに広がる巨大彫刻の庭。聖書のストーリーを元に、最後の晩餐、キリストの復活などが真っ白なコンクリートの彫刻で再現されています。40年代の冷戦時代に、世界平和の願いを込めてアントン・マーティン氏が制作しました。
サルベーション・マウンテン Salvation Mountain
Beal Rd, Niland, CA 92257
ロサンゼルス郊外の野外アートの中でも比較的有名なスポット。空からインクのバケツをひっくり返したような鮮やか色が特徴的な山です。神を愛するが故、敬愛の丘を作るために人生を捧げたレオナルド・ナイト氏。彼が2014年に他界したニュースも記憶に新しい。
スラブ・シティ Slab City
Slab City, CA 92233
サルベーション・マウンテンのすぐ隣にある小さな町、スラブ・シティ。第二次世界大戦中の海軍の元キャンプ地で、現在は、世間一般との関わりから距離を置く人々が自由気ままに生活するエリア。制作者不明の幻想的なアート作品が多いことからも知られています。映画「イン・トゥ・ザ・ワイルド」の撮影場所の一部となった地域。
ロボ・ライト Robo Lights
1077 E Granvia Valmonte, Palm Springs, CA 92262
アーティストのケニー・アーウィン氏が、自宅を改造して作ったロボット彫刻の庭。ヴィヴィッドカラーのロボットたちが豪邸を埋め尽くす、おとぎ話のような空間です。クリスマスシーズンには全ての彫刻にイルミネーションが施され、ロボットたちに更なる彩りが加わります。
カバゾン・ダイナソー Cabazon Dinosaurs
50770 Seminole Dr., Cabazon, CA 92230-2304
ロサンゼルスの遊園地「ノッツ・ベリー・ファーム」の元専属彫刻家だったクラウド・E・ベル氏が、1964年から11年もの年月をかけて制作した巨大な恐竜の像。現在はカバゾン市に場所を移行。その大きさは、I-10フリーウェイ沿いからでも見ることができます。
エルマーおじいさんのボトル・ツリー・ランチ
Elmer's Bottle Tree Ranch
24266 National Trails Hwy, Oro Grande, CA 92368
太陽の光にきらきらと反射しながら、色とりどりのガラスボトルが摩訶不思議な並木道を作り出しています。ルート66上に住むボトルコレクターのエルマー・ロング氏が、使い道の無くなった空ボトルにも日の目を浴びせてあげようと制作したもの。並木道は現在も拡大中です。
生きるゴーストタウン A Living Ghost Town
Ransburg, CA
南カリフォルニアのゴーストタウンといえば、かつてのゴールドラッシュ時代に集結した人々で栄えた町の痕跡。しかし、ここランズバーグのゴーストタウンは現在も人が住んでおり、小さなバーやミュージアムがひっそりと開業中。当時実際に使われた砂金探索の器具などが展示されています。
アンテロープ・ヴァレー・インディアン・ミュージアム
Antelope Valley Indian Museum
15701 E Ave M, Lancaster, CA 93535
ミュージアム館内には、むき出しになったごつごつの岩肌が。アーティストのH・アーデン・エドワーズ氏により、自然との共存を意識した建造物として1928年に制作されました。先住民族の歴史が詰まった博物館となっており、シーズンごとに開催される民族のお祭り「パウワウ」には一般の人々も集まります。
ノア・ピュリフォイ野外美術館 Noah Purifoy Foundation
63030 Blair Lane, Joshua Tree, CA 92252
野外彫刻の元祖、ノア・ピュリフォイによるアウトドアミュージアム。南カリフォルニア周辺のジャンクアートの原点はここにあると言ってもよいでしょう。白を基調とした作品の数々が淡い砂色と混じり合い、ニヒリスティックなエネルギーを無限に放出する不思議な空間です。
マフラーマン Muffler Man
10098 Garnet St, Mentone, CA 92359
アメリカンロードサイド「ルート66」の顔、マフラーマン。インターナショナル・ファイバーグラス・カンパニーが制作した5〜8メートルの広告塔で、民話の主人公ポール・バニヤンがモデルとなっています。60年代には何千体と作られましたが、現在、鋳型は失われており、アートコレクターズアイテムに。
アマルゴサ・オペラ・ハウス Amargosa Opera House
HR-C 608 Death Valley Junction, CA 92328
デスバレー国立公園をドライブ中に立ち往生にあってしまったバレリーナ、マータ・ベケットによる荒野のバレエ劇場。舞台のダンサーを見守る王様、お妃様、ジプシー、天使などが、壁と天井一面に描かれています。彼女が引退した現在も、後継者によるバレエリサイタルが開催されています。