国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、8月9日に発表した報告書で、温暖化が急速に進んでいると警告した。
さらに、人間の行動が地球を温暖化させてきたことは「疑う余地がない」と、結論付けた。
報告書は、気候変動が熱波、大雨、干ばつなどに影響を与えており、温室効果ガスの排出量を大幅に削減しなければ、世界の平均気温が20年以内に1.5℃上がる可能性もあるとも指摘している。
報告書の発表後、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんはSNSで、報告書は「驚きではない」とコメント。最悪の事態を避けるためには、私たちが「勇気を持って行動することが必要だ」と訴えた。
IPCCの新しい報告書には驚くようなことは書かれていません。多くの研究と報告書ですでにわかっていたことを確認したものです。これは、私たちの最善の科学をまとめた、信頼できる(しかし慎重な)報告書です
この報告書は、私たちに何をすべきかは伝えていません。勇気を出して、報告書が示した科学的証拠に基づいてどんな決定をするかは、私たち次第です。私たちはまだ、最悪の結果を避けることはできます。しかし今のような生活を続けて危機を危機と捉えないのであれば、避けられません
気温が1.5℃上昇することで、熱波や干ばつなどの異常気象が増えることがわかっている。
報告書の作成に関わったイギリス・リーズ大学のピアース・フォスター教授は、「今後20〜30年で、私たちは異常気象に突入する可能性があります」「状況は現在より悪くなるかもしれない」と、ニューヨークタイムズに述べている。
トゥーンベリさんはその後のツイートで、どう問題を解決するかを、世界のリーダーたちに尋ねたほうがいい、とも述べている。
新しいIPCCの報告書によると、現在の炭素排出量が続けば、気温上昇を1.5℃以下に保つためのカーボンバジェット(気温上昇をあるレベルまでに抑えようとする場合の、温室効果ガス累積排出量の上限 )は5年半以内になくなる。誰かが権力者たちに、どうやってこの問題を“解決”するつもりか、尋ねたほうがいいのでは?
トゥーンベリさんはこれまでも、世界のリーダーたちに気候危機に対応するための思い切った行動を取るよう求めてきた。
2019年には、国連で「多くの人たちが苦しんでいます。多くの人たちが死んでいます。全ての生態系が破壊されています。私たちは大量絶滅の始まりにいます」と訴えた。
さらに、行動を取らないリーダーたちの姿勢を次のように批判した。
「それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」
「あなたたちは私たちに“耳を傾けている”、そして緊急性を理解していると言います。しかしどれだけ私が怒り悲しんでいようとも、私はそれを信じたくありません」
「なぜなら、もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じたくありません」