アメリカ・テキサス州で、妊娠6週目以降の中絶を禁じる法律が施行された。この法律は、レイプや近親相姦による妊娠も例外にしていない。
同州のグレッグ・アボット知事は9月7日、「なぜレイプや近親相姦の被害者に、妊娠を続けることを強要するのか?」と聞かれて、「少なくとも6週間は中絶を受けることができる」と答えた。
さらに「レイプは犯罪だ。テキサス州は通りから全てのレイプ犯を取り除くための努力を続ける。積極的に取り締まり、逮捕、訴追することで、レイプ犯を排除する」と述べた。
ほぼ全ての中絶が禁止
アボット知事は「少なくとも6週間は中絶を受けることができる」と主張しているが、これは妊娠の現実からかけ離れている。
妊娠した女性の多くは、6週間以内には気付かない。アメリカ産科婦人科学会サラ・ホヴァース博士は「積極的に妊娠しようとしていない限り、女性が6週間以内に気付く可能性は低い」と、ニューヨークタイムズに話している。
つまり「6週間目以降の中絶禁止」は、ほぼ全ての中絶を禁止していると言い換えることもできる。
さらにこの法律は、6週間目以降の中絶を「手助け」「ほう助」した人を、一般のアメリカ人が訴えることも認めており、民事訴訟で勝訴すれば、最低1万ドル(約110万円)の報奨金と裁判にかかった費用が得られる。
訴訟の対象には、中絶に関わった医療従事者だけではなく、中絶をした女性を病院まで車で連れて行った友人や家族も含まれる可能性がある。
法律は、レイプ犯が訴訟を起こすことを認めていない。しかし中絶の権利の擁護者たちは「レイプや性的暴行の多くは通報されず、有罪判決が下されないため、レイプ犯による訴訟も起き得る」と、テキサストリビューンに指摘する。
アボット知事はレイプ犯を根絶すると約束しているが、そもそもレイプが起きている状況でこのような法律を作ったことが、女性たちをさらに苦しめることになっている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。