人は誰でも歳をとるもの。それに、長生きしたいと思うのは自然なことだ。
しかし残念ながら、高齢者はネガティブな文脈で語られることが多いようだ。発言は「古くさい」といわれ、流行を楽しもうとすれば「歳をとりすぎてる」と言われてしまう。
こういった高齢者差別は「エイジズム」と呼ばれる。この誰のためにもならないエイジズムを防ぐために「子どもと祖父母が良好な関係」が助けになるという新研究が、学術誌「チャイルド・ディベロップメント」に掲載された。
研究によると「祖母や祖父と良好な関係を築いている子どもは、高齢の人たちに対する偏見をもつ傾向が低い」という。
研究では、1151人のベルギーの子どもたち(7〜16歳)を対象に、自分たちの祖父母についてどう感じるかを尋ねた。その結果、祖父母と良好な関係を築いていない子どもの方が、良好な関係を築いている子どもより高齢者に対して差別的な見方をした。
研究チームのリーダーで、同国のリエージュ大学心理学部大学院生のアリソン・フラミオン氏は「エイジズムに最も深く関係していた要素は、"祖父母とほとんど良好な関係を築けていないこと"でした。また、関係の中身の方が、会う回数よりも大切であることもわかりました」とプレスリリースでコメントしている。
言い換えれば、親は子どもが高齢者に対する見方を形成する手助けをできるということだ。
研究では、祖父母との関係だけではなく、子どもの祖父母に対する認識もエイジズムに影響を与えることがわかった。健康状態が良くない祖父母を持つ子どもたちは、健康的な祖父母を持つ子どもたちより高齢者たちに対する偏見を持つ傾向にあった。
さらに興味深い発見として、10〜12歳の子どもたちが最も高齢者差別的な姿勢が低いということもわかった。
■エイジズムがもたらす弊害
エイジズムは、家庭だけでなく職場でもみられる。アメリカでは、年齢差別は雇用社年齢差別禁止法で禁止されている。しかしアメリカ退職者協会によると、高齢の労働者の3分の2は、仕事で年齢差別を受けた、もしくは受けているのを目撃したことがある。
こういった差別は、高齢者の経済的な安定に弊害をもたらす。例えば、高齢の労働者の方が失業期間が長いという研究もある。失業期間が長引くと、退職に備え貯金することが難しくなる。中には、幾つになっても退職できず、働き続けなければいけない人もいる。
WHO(世界保健機関)の調査でも、エイジズムが健康に悪影響を与え得るということがわかっている。同機関によれば、年齢差別的な味方をする高齢者は、加齢をポジティブにとらえる人より、寿命が短くなる可能性がある。また高齢者差別は、循環器疾患、生産性の低下、自己効力感低下の原因になりうるとしている。
親であれば、子どもたちに加齢や高齢者を肯定的に受け止めて欲しいのではないだろうか。今回の研究は、まずは身近にいる祖父母と良い関係を築くことから勧めている。
この記事はMotherlyに掲載されました。
筆者:アンナマリャ・スカッシア
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
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