「人命より尊いものはない」死去したゴルバチョフ氏が率いる財団、ウクライナ侵攻に声明を出していた

旧ソ連の最後の指導者、ゴルバチョフ元大統領が91歳で亡くなりました。
ソビエト最高会議の臨時会合で演説する、当時のゴルバチョフ大統領(1991年08月27日撮影)
ソビエト最高会議の臨時会合で演説する、当時のゴルバチョフ大統領(1991年08月27日撮影)
AFP=時事

旧ソビエト連邦の最後の指導者で東西冷戦を終結に導いたミハイル・ゴルバチョフ氏が8月30日、モスクワ市内の病院で亡くなった。91歳だった。ロシア国営のタス通信などが報じた。

■ゴルバチョフ氏とは?民主化を加速させるもソ連崩壊

NHKニュースなどによると、ゴルバチョフ氏は1985年、54歳でソビエト連邦共産党書記長に就任。ペレストロイカと呼ばれた政治改革と、情報公開を意味するグラスノスチを推進して、社会を民主化した。外交政策でも欧米諸国との対立を緩和し、1989年にはアメリカのブッシュ大統領(当時)とともに東西冷戦の終結を宣言した。こうした功績から1990年にはノーベル平和賞を受賞している。

同年には共産党の一党独裁を放棄し、初代大統領に就任した。一方で、急速な民主化はソビエト連邦の構成国の独立運動を加速させた。1991年12月のソビエト連邦の崩壊に伴い、大統領を辞任している。

ゴルバチョフ氏の功績は世界的に讃えられたが、ソ連崩壊で深刻な社会的な混乱を招いたとして、ロシア国民の間では否定的な声も根強いとテレ朝ニュースは報じている。

■クリミア併合には賛成したが、ウクライナ侵攻には懸念か

ゴルバチョフ氏は2014年のクリミア半島の併合に関しては、2016年にプーチン大統領の行為を支持する発言をしたことで、ウクライナ政府から5年間の入国禁止措置を受けていた

一方で、2022年のロシア軍のウクライナ侵攻には懸念を示していたようだ。代表を務める「ゴルバチョフ財団」は、2月26日付の声明で「人の命ほど尊いものはこの世にない」として「敵対行為の早期停止と和平交渉の即時開始」を求めていた。全文は以下の通り

「2月24日に始まったウクライナにおけるロシアの軍事作戦に関連して、我々は敵対行為の早期停止と和平交渉の即時開始の必要性を確認します。人命より尊いものはこの世にありません。相互の尊重と利益の認識に基づく交渉と対話は、最も深刻な矛盾と問題を解決する唯一の可能な方法です。我々は、交渉プロセスの再開に向けたあらゆる努力を支持します」

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