ポケモンGOがすさまじい人気のようです。海外からサービスがはじまり、各地での大フィーバーぶりがニュースになっていますが、日本でもまもなくサービスがスタートします。さてどんな騒動が起こるのでしょうか。
中国では利用できないにもかかわらず、中国版ツイッターで、「ポケモンGOで遊ぶな。米日が中国の秘密基地を探査できるようにしたものだ」、「戦争が起きれば、日米は簡単に誘導ミサイルの目標を設定できる。中国は日米合作ゲームの侵略によって破壊されてしまうだろう」と警戒心でヒートアップするほど、裏返せば、ゲーム大国の中国でもすでに関心が高まっているようです。
訪日した海外からの旅行者が日本では今はサービスが開始されておらずガッカリということですが、日本オリジナルのキャラクターが登場すれば、それをゲットするためにまた来日するという人もニュースで紹介されていました。政府のビジット・ジャパン戦略に組み込めば面白いですね。
ポケモンGOは世界制覇の勢いですが、拡張現実(AR)の技術を使ったもので、これだけ大ブレークしたのははじめてではないでしょうか。
対照的だったのがGoogleGlass です。GoogleGlassは「未来」を感じさせ話題を集めたものの失敗に終わりました。価格が高かったことと、プライバシー侵害というか、あのGlassをかけて見つめられれば、どんな個人情報が探られているのか、勝手に画像撮られているのではないかといった気味の悪さもあり、思うように売れず販売中止となりました。
しかし、このGoogleGlass とポケモンGOには意外な共通点があります。ポケモンGOは、昨年満55歳の若さで亡くなられた任天堂の岩田社長とポケモンの石原恒和社長が2年越しで温めてきたプロジェクトだったようですが、開発・配信を担っているのは、任天堂ではなく、もともとGoogle社内から生まれ、2015年8月に独立したベンチャーの「ナイアンティック」です。
同じGoogleのDNAが流れているのに、両者に差がうまれたのは、拡張現実(AR)の技術を使って、使う人達にとっての「新しい目的」(WHAT)を生み出せたか、そうでなかったかではないでしょうか。
つまり、ポケモンGOは「現実をより楽しくする」というわかりやすい目的の創造で成功し、GoogleGlassは、メガネで写真を撮ったり、地図が見えるといった「目新しい方法」(HOW)を開発したに過ぎなかったように感じます。
(2016年7月19日「大西宏のマーケティング・エッセンス」より転載)