睡眠不足は“肌荒れ”も“食べ過ぎ”も引き起こす!

8つのポイントから改めて考える、睡眠が綺麗な素肌作りに重要な理由

この記事は2018年10月28日「VoCE公式サイト」掲載記事「睡眠不足は"肌荒れ"も"食べ過ぎ"も引き起こす!」より転載したものを元に加筆・修正したものです。

年齢に関係なく「肌が綺麗」なことは、自分自身に自信を持つことができ、さらに、魅力的にみせてくれる要因のひとつです。今回は「綺麗な素肌づくり」という観点から、睡眠が与える肌への影響と肌にいい睡眠法をご紹介します。

十分な睡眠は、健やかで美しい肌に欠かせないことは皆さんも承知のことだと思います。しかし、わかっていてもついつい遅くまで起きていませんか? 睡眠がなぜ綺麗な素肌作りに重要か、以下の8つのポイントから改めて考えてみましょう。

睡眠不足がもたらす8つの悪影響

まず、睡眠不足は脳から全身へとつながるホルモン分泌系統、自律神経、抗酸化物質の代謝に異常をきたします。特に、肌と密接に関係するホルモンは「成長ホルモン」「メラトニン」そしてコルチゾールなどの「ストレスホルモン」です。具体的に何が起こるのか説明していきましょう。

①若返りホルモンの「成長ホルモン」が減る

成長ホルモンは睡眠に依存して分泌されるホルモンです。成長ホルモンはお肌を含むカラダの基礎代謝/新陳代謝、コラーゲンやタンパク質の合成、細胞の修復、免疫機能と深く関係しています。特に皮膚においては、成長ホルモンは肌のターンオーバーにも関与しています。健康な肌は28日周期で新しい肌に生まれ変わりますが、この周期が遅くなると、古い角質が残ってしまい肌の表面が固くなり、シワやくすみ、乾燥、皮脂の過剰分泌などのトラブルが発生しやすくなります。

②アンチエイジングホルモンの「メラトニン」分泌が減る

メラトニンは、強力な抗酸化力をもつ「アンチエイジングホルモン」として今注目を集めています。メラトニンは、肌細胞における酸化ストレスも解消し、お肌の若返り効果があるとされます。また、メラトニンには体内時計のリズムを司り、睡眠を促して体を休ませ、成長ホルモンの分泌を促す役割があります。上記のような成長ホルモンの効果を十分発揮させるには、メラトニンをきちんと分泌させることが重要です。

③ストレスホルモンがニキビや吹き出物を作る

睡眠不足が続くとストレスホルモンが過剰に分泌され自律神経やホルモンへ悪影響を及ぼします。めまい、頭痛、耳鳴りなどの「プチ不調」を経験したことはないでしょうか? ストレスホルモンは肌にも影響し、皮脂分泌を増やすことによって、ニキビや吹き出物、脂性肌になります。さらに、肌の免疫機能の低下を招き、皮膚のバリア機能が弱まり皮脂腺等で雑菌が増えニキビができやすくなります。

④自律神経のバランスが崩れる!

睡眠時間が足りないと交感神経が優位の状態となり、皮膚の血管を収縮させ、血流が停滞してしまい、目の下にクマが出来てしまいます。また、自律神経の乱れはストレスホルモンの分泌を増やしてしまいます。

⑤ビタミンC不足になる

睡眠時間が短いと脳が休息する時間が減り、「脳の疲れ」が貯まります。脳の疲れの原因は脳に発生した酸化ストレスが原因と言われますが、この酸化ストレスを処理するのにビタミンCなどの抗酸化物質が消費されます。すると、ニキビの予防やコラーゲン・ヒアルロン酸を作るのに欠かせないビタミンC不足になってしまい、肌トラブルが増えてしまいます。

さらに、睡眠不足は上述のように脳内で酸化ストレスを発生させ神経細胞にダメージを与えます。すると、食欲ホルモンや「脳内報酬系」などの神経回路に変化が起き、お肌のコンディションを悪くするような食行動をついつい取るようになってしまいます。

⑥食欲が増す

ごく短期間の睡眠不足によって食欲を抑えるホルモンである「レプチン」濃度が低下し、代わりに食欲増進ホルモンである「グレリン」濃度が上昇し食欲の増大が生じることがわかっています。すると、ニキビの原因となる食べ過ぎ、カロリー超過に陥りやすくなるのです。

⑦生活習慣が不規則になる

睡眠時間が不規則になることによって、朝の欠食や運動不足、1日のカロリー摂取バランスが偏るなど、生活習慣にも影響を及ぼします。カロリーは摂取量や栄養素の取りすぎだけでなく、その摂取時刻がホルモンバランスに大きな影響を与えることが明らかにされています。

食事摂取時間が毎日バラバラだと、体内時計のリズムが乱れてしまいます。すると、脂肪細胞やミトコンドリアの機能が低下し、基礎代謝や新陳代謝が悪くなってしまいます。さらに、食欲抑制ホルモンである「レプチン」の効きが悪くなり、食べても食べても「お腹いっぱい」にならない体になってしまうのです。

⑧食べたいものが変わる!

短い睡眠時間は、油っぽい物、しょっぱい物、甘い物、高カロリー食品、炭水化物に対する欲求を抑えきれなくなることがわかっています。「疲れたとき甘いものが食べたくなる!」という疲れ、寝不足から来ているのです!

以上のように、「よく寝る事」がキレイな素肌作りの基本と言えます。上記の3つのキーワード「メラトニン」「酸化ストレス」「自律神経」を意識すると、良質な睡眠・休息がもたらされ、綺麗な素肌が実現できます。

美肌をもたらす3つのキーワード

美肌につながる良質な睡眠のために意識するべき、3つのキーワード「メラトニン」「酸化ストレス」「自律神経」について学びましょう!

メラトニン:メラトニンの分泌を促すためには、寝る前は明るい光を浴びないようにすることがポイントです。これは、メラトニンは明るい光によって分泌が阻害されてしまうためです。睡眠時は室内を暗くし、スマートフォンやPCの画面も極力見ないようにすることが重要です。また、メラトニンの材料となる「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸が多く含まれる大豆、アーモンド、ブロッコリーを多く含む食べ物を摂取することもメラトニン分泌を促す効果があると言われています。これらは午後3時までに摂る事が有効と言われています。逆に、メラトニンの分泌を妨げるカフェインは寝る前には摂らないようにしましょう。

酸化ストレス:酸化ストレスを抑えるには十分な睡眠時間の確保はもちろんですが、酸化ストレスを処理するためにビタミンCなどの抗酸化物質を多く摂取することが重要です。ストレス社会の今日において、脳の疲れを取るために抗酸化物質が使われ、肌に使われるビタミンCが不足しがちです。野菜やサプリメントを積極的に摂るようにしましょう。

自律神経:自律神経のバランスを整えることは、寝つきを良くする、脳の疲れを取る、成長ホルモンやメラトニンなどの働きを向上させる、のに欠かせない要素のひとつです。オススメは、寝る前の半身浴です。半身浴は気持ちを鎮める働きをする副交感神経が優位になります。さらに、入眠は体内の熱を放散する時に起こることがわかっているため、体温を高めておくとスッと眠りにつくことができます。特に、冷え性の人は意識して寝る前に半身浴するようにしましょう。

以上、睡眠が与える肌や食行動への影響と、肌にいい睡眠法をご紹介しました。睡眠時間は肌のコンディションと密接に関連するホルモンや自律神経のバランスを整え、細胞のダメージを修復する大切な時間です。そして、睡眠による回復が不十分だと次の日の肌の状態や食行動をも変えてしまうので注意が必要です。「メラトニン」「酸化ストレス」「自律神経」の3つのキーワードを軸に、あなたの睡眠を見直してみませんか?