7月25日、怪獣ゴジラが「GODZILLA」として日本に帰ってきます。前作の公開から10年。大人ははしゃいでいますが、今の小学生はリアルタイムで見ていません。そこで、子どもにもわかりやすいよういま一度、ゴジラが何者なのかさぐってみました。
(写真:東京ミッドタウンに現れたゴジラ)
黒くごつごつした体ととがった背びれを持ち、うめくような叫び声とともに、どんな建物もなぎ倒す力を見せつける。それがゴジラです。
初めて映画に登場したのは、太平洋戦争の終結から9年後の1954年11月。この年の3月、原子爆弾より強力な水素爆弾(水爆)の実験に日本の漁船「第五福竜丸」がまきこまれ、船員が亡くなる事故がありました。
ゴジラが現れたきっかけも水爆実験です。海の奥深くでくらしていた古代生物がすみかをうばわれ、東京の街に現れます。
ゴジラは次々と街を破壊。戦車や戦闘機が攻撃するも歯が立たず、人々は逃げまどいます。最後は水中の生物をとかしてしまう科学兵器「オキシジェン・デストロイヤー」によって倒しますが、開発した博士は悪用されるのをおそれ、資料を燃やし、ゴジラとともに命を絶ちました。
映画は960万人を動員する大ヒット。その後60年間で、アメリカ発の2作をふくむ29作が生み出されています。
これほど作られ続けた理由について、1989年公開の「ゴジラvsビオランテ」から2004年公開の「ゴジラ FINAL WARS」までプロデューサーを務めた富山省吾さんにたずねました。
「1作目がすばらしいからでしょうね。核の恐さや平和への祈りを描いています。私もそれを常に意識して映画を作っていました。今回のアメリカの作品も同じだと思います」
ゴジラ映画には、時代の変化が映っています。ゴジラが壊すのは国会議事堂や大阪城などの名所のほか、神奈川県の横浜ランドマークタワーといった、映画の公開時にはオープンしていなかった建物もあります。「ゴジラが壊しに来るぐらいすごい建物」と、尊敬の気持ちを持ちながら選んでいたそうです。
映画の登場人物は、ゴジラの正体を暴こうとします。しかし、最後まで答えは出ないまま。初代プロデューサーとしてゴジラを生みだした田中友幸さんも口ぐせのように「わからない」と言い、ただ「恐くてかわいい存在」と答えていたそうです。
「最初はだれもが恐い。ところが見るうちに『ああやってビルを壊せたらすごい』と思えてくる。自分がゴジラになり、感情がこもってくるんです。一人ぼっちで去っていく後ろ姿からは、どことなく悲しさが伝わってきます」
【ゴジラとは?】
体長 日本では初代の50メートルから、作品によって100メートルまで巨大化。今回のアメリカ版は過去最大の108メートル
得意な攻撃 口からはく数十万度の放射熱線
名前の由来 巨大なクジラと力強いゴリラを足したと言われている
ライバル モスラやラドン、キングギドラ、メカゴジラなど。ミニラやリトルゴジラといった仲間もいる
【ゴジラ映画のあゆみ】
1954年 初代「ゴジラ」
64年 「モスラ対ゴジラ」
74年 「ゴジラ対メカゴジラ」
84年 9年ぶりの新作「ゴジラ」
98年 初のアメリカ版「GODZILLA」
2004年 「ゴジラ FINAL WARS」
14年 アメリカ版「GODZILLA ゴジラ」
※記事は朝日小学生新聞7月21日付に掲載しました。
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