ランチ時のオフィスに「SUNAOデリバリー」の宅配弁当が届いた。この日はバジルクリームパスタとチキンのソテー、温野菜とボリュームがあるメニュー。
これが、540円という安さなので驚きだ。
この宅配弁当には、もう1つ、特徴がある。それは適正糖質(※1)という点だ。1食当たりの糖質は40g以下に抑えられていて、パスタやライスなどの主食の糖質は、一般のものと比較して糖質が50%オフ(※2)となっている。
宅配弁当が健康を意識するきっかけに
「SUNAOデリバリー」はGlicoが2022年から大阪駅と新大阪駅周辺のオフィスビル向けに始めた法人向けお弁当宅配サービスだ。導入した企業の社員にとっては、手軽にランチができることに加えて、健康への意識を高めるきっかけにもなっているようだ。
「最初はオフィスにランチが届いて便利という理由で利用していましたが、今では野菜を食べる習慣が身につきました」
こう話すのは株式会社マイナビ大阪支社の島瀬かおりさん。
「SUNAOデリバリー」を利用したきっかけは「楽だから」という理由だった。現在4歳の子を持つワーキングマザーで、どうしても自身の食事はおざなりに。出社時のランチはコンビニのおにぎりだけ、という日が多いのも悩みだった。元々野菜は嫌いだったが、野菜やタンパク質をしっかり取れる「SUNAOデリバリー」を利用しているうちに、今では自宅でもサラダを食べる機会が増えたという。
食でウェルビーイングな社内環境を作る
マイナビ大阪支社に「SUNAO デリバリー」の導入を進めたのは、同社の武田聖子さんだ。
「糖質を制限したいから、時間がないから、節約したいから、などいろいろな理由で使用してもらっています。昼食の選択肢を増やせるだけでなく、健康に良いところも使って欲しいと思うポイントです。」
武田さんは、マイナビ大阪支社のランチ事情に課題を抱いていた。ビル30階・31階にオフィスがあるため、ランチでレストランに行くのに時間がかかってしまう。さらにランチの値段も高い。財布にやさしくて手軽なサービスがあれば、と思っていたところ、「SUNAOデリバリー」と出会った。さらに、社員の健康にもアプローチができる点も魅力的だったという。
導入後は、自ら献立のメニューを社内に貼り出すなど、啓発活動も行なった。マイナビ大阪支社では2022年にサービスを導入してから1年で登録者が100人に達し、現在は150人まで伸びている。「量も十分で美味しい」「糖質が気になっているので助かる」などと利用者からの評価も上々だという。さらに武田さんは、Glicoの担当者にオフィスへ来てもらい、糖質などをテーマに勉強会を開き、従業員の健康意識を高めるための活動も行なっている。
「1人1人の社員を大切にするという観点はすごく重要で、食でもオフィス環境でもウェルビーイングな状態を目指しています。」
糖質をコントロールするライフスタイルを作る SUNAOの挑戦
GlicoのSUNAOは「糖質を控えたライフスタイル」を提案しているブランドで、これまでアイスやパスタなど、おいしさと適正糖質を掛け合わせた商品を生み出してきた。
2021年、これまでSUNAOでアプローチできていないお客さんに向けたサービスを作ろうと、新規プロジェクトが発足した。
「糖質をコントロールするライフスタイルをお客様に広げ、健康維持に貢献することがこのサービス自体の目的です」
こう話すのは江崎グリコ株式会社 健康イノベーション事業本部 商品開発部の島田快さん。
当初は低糖質の料理教室や、直営レストランなどのアイデアも出たが、顧客インタビューを行なっていく上で、「勤務中になかなか健康的な食生活を行えない」「レストランやコンビニが混んでいる」「ご飯を食べた後に眠くなってしまう」など、オフィスで働く人のランチの課題が見えてきたという。
「みんなでランチに行くとどうしても糖質が多いメニューになってしまうこともあります。勤務中のランチタイムは適正糖質の食事をするのが守りづらいという課題が浮上しました。」
プロジェクトメンバーで何度も議論を重ねた末、ついにオフィス向けの適正糖質の宅配弁当というサービス内容が決まった。LINEで簡単に予約ができ、当日の午前9時まで予約が可能にするなど機能面もこだわり、心の健康にも貢献しようと温かい出来立てという点にもこだわった。こうして、顧客視点に立って生まれたアイデアだが、1つ課題があった。それは「満足感」だ。
「健康を意識したお弁当は、どうせおいしくないんでしょうとか、量が少ないんでしょう、とか思われるのが嫌だった。適正糖質でもおいしく、しっかりとお腹も気持ちも満足してもらえる物を作ることにこだわっています」
バジルクリームパスタは麺自体にバジルと低糖質な素材のチーズが練り込まれている。和風のパスタ麺には鰹節やおからを練り込むなど、糖質を抑えながらも素材の香りを感じられるような製法となっている。また、オフィスランチでフレッシュなものを食べて欲しいと、生野菜も多く使用している。メニューは、パスタやライスの主食と、肉や魚の主菜、サラダからなり、組み合わせは400通り以上あり、飽きがこない構成になっている。
「普段あまり健康を意識していない人が食べたときに、こんなに満足できるんだなって思っていただき、健康を気遣うきっかけになってほしいです。」
Glicoでは健康経営に取り組む企業に対して、健康測定や糖質をテーマにした勉強会を行なっている。「SUNAOデリバリー」を導入している企業にも、こうしたイベントを定期的に開き、伴走しながら社員の健康意識向上の支援を行なっている。
適正糖質を理解してもらうと共に、「糖質を控えたライフスタイル」を浸透させていく、この大きな目標への手段の1つが「SUNAOデリバリー」だ。
「健康な食事となると、我慢する方向にいってしまいがちです。健康にも気を遣いつつ、心も満足できるような価値を提供していくことで、適正糖質の考え方がより一般的になるような社会を目指したいです。」
「SUNAOデリバリー」は、グランフロント大阪を中心に、大阪の企業へ拡大展開中だ。
「SUNAOデリバリー」公式サイト https://cp.glico.com/sunao/delivery/
「SUNAO」ブランドサイト https://cp.glico.com/sunao/
※1 一般社団法人「食・楽・健康協会」は1食で摂取する糖質量を20~40g、間食では10g以下にする「適正糖質」を提唱しています。
※2 日本食品標準成分表2020年版(八訂)マカロニ・スパゲッティ ゆで/焼きおにぎり 比較
(撮影&取材&文:北田淳)